最弱魔王の異世界侵略!魔王は静かに暮らしたい!?

幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕

第1話〜静かな日常……にはとことん縁が無い!?〜

「待てやこらぁぁぁぁぁッ!!」

「嫌やで主夫ちゃん、野暮な事言いなや〜?」

「誰が主夫だ! 後ちゃん付けするな気色悪ぃ!」

「あっはっはっひっどいなぁ〜」

回廊に走り回る音が響き渡る。綺麗に磨きあげられた廊下は物凄く滑りやすいにも関わらず、平然と走っている紫色の髪に糖蜜色の瞳をした青年と金髪碧眼のチャラ男風の青年は全くコケる様子は無い。

「酷い所か事実だろ! つかいい加減真面目に仕事やれェェェェェェェェェ!」

「真面目にやるんは性にあわへんもーん」

いつまで続くか解らない鬼ごっこをする二人を遠くから生温い目で眺めている、漆黒の瞳と髪をした男性と彼の隣には燃え上がるような髪と紅蓮色の瞳をした男性が飽きれたようにそれを見ながら呟いて肩を竦めた。

「いつまで続くンだよアレ?」

「………………………世界が滅ぶまで?」

「待てェェェェェェェェェ! ……っておい其処! 聴こえてるぞ、簡単に滅ぼすな!!」

「あっはっは! 滅びかけはしたやんか〜?」

「お前は笑うな腹立つ!!」

「煩いですよォ……?」

ゆらりと扉の一つが開いて中から蒼玉色の髪と薄氷色の瞳の青年が出て来た。掛けている眼鏡がずり落ちてる所を見ると、どうやら寝落ちしていて今目が覚めたばかりらしい。

「あ、おはようウィズ。お前また寝落ちしてたな?」

「あ〜バレましたァ? 面白い文献がありましてそれを読んでたらいつの間にか……」

「…………………………寝てたんだ……?」

「バレるからな!? 後クロエ! お前はもうちょい話せ!」

「ぶ〜主夫さんの無粋〜」

「…………………………無理難題……」



──はァはァ……ツ、ツッコミが追い付かない……ッ!


「……………………腹減った」

「「「「あ"」」」」


ポツリとグリッターが洩らした一言で大事な事を忘れていた事に気づく、俺達四人。



──良しグリッターよくぞ言ってくれた、お前だけ飯の量多めにしてやるぞ……


「あ、俺飯は普通の量で足りっから」

「なぬっ!?」

「えっ!? 何食べたんやグリちゃん!?」

「珍しい……ハッさては満腹魔法なるモノを遂に完成させて……」

「…………………………大丈夫……?」

「何も食べてねぇし完成させてもねぇよ? 普通に大丈夫だから」

「グリッドが真面目になったァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

「…………………………グリッドじゃなくグリッター、な……」










──静かな日常は逃げたようです。(泣)

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