第7話 うちはスパルタ教育ですから
やっちまったのはハナミズキも散った4月の朝。
地震以前は結構お世話になっていたお花の通販サイトを朝飯前に覗いていたら…
「新種ミニバラ入荷、26日まで」の広告とバラというよりはほとんどカーネーション?な形をしたお花の写真にきゃぴん!と私の胸はときめき、つい、一鉢注文してしまったんだな。
数時間後、思い直して苗屋さんに直接電話してみる。
「はい、どうかされましたか?」
「注文を変更したいんですが送料700円に一鉢買いだけじゃ勿体ないな、と思って…もう一鉢別の品種を注文します」
「はい解りましたー」
「ちょっと待ってください、うちは熊本市の温暖な所で午前中日の当たる東向きのベランダで育てる予定なんですけど…5月過ぎたら出てくるじゃないですか…あの白いうどんこ病が」
苗屋さんは答えた
「ええ、うどんこ病はもうバラの宿命みたいな病気ですから、見つけたら即全体に薬液かけて下さい」
私はさらに尋ねた
「やはり一般のバラガーデナーさんがやってるように、三種の薬液揃えなきゃダメですかー?」
さらに苗屋さんは答えた
「うちの苗は、お客様にそのような心配をかけさせないために…厳しく育てておりますから」
私はえ?と聞き返して自分の中の今までのバラ育ての概念、バラはお姫様のように育てよ。
がガラガラと音を立てて崩れた。
「ほら、何でも甘やかして育てたらひ弱な子になっちゃいますでしょ?日光、肥料、水…やり過ぎたらアウトなんです」
私は、若い夜の蝶々に貢ぐ銀座のエロオヤジの如く水も肥料も日光もやり過ぎて相手をダメな子にしていたのか…
「うっへっへ、これだけ与えてんだから綺麗なお花咲かせてちょーよ」
もちろん脳内キャスティングは奥田瑛士うじである。
やべぇ、今まで娘達(バラ達)を、甘やかし過ぎだった。
「到着後の管理の仕方を事細かに書いたマニュアル入れときますから、安心してください!」
と自信に満ちた声で苗屋さんは言い、私は礼をのべると電話を切った。
私は今まで何をやってたんだ?
自己流の知識で娘たちを次々と枯らし、震災、引っ越し、物件にベランダありーの、蝶々に食われーのし、結局青虫さんのせいにしてバラガーデナーへの道を放棄しただけじゃないか。
今こそ立ち上がるのよ、私。
で注文した品種は自分に魔法をかけたいんで
ホーカスポーカスコルダーナと、
マラクジャコルダーナ。
とゆーマニアさんからお前派手な色合い好きだな。と突っ込まれそうな組み合わせなのである。
だってしょうがないわよ。
人は40過ぎたら、派手な色合い好きになるってば。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます