第8話魔法の呪文

布団から身を起こすことができず、子供のように毛布にくるまって泣く。


何度も何度もいのちの電話の番号にダイヤルし、そのうちいつになったら繋がるのかなーとゲーム感覚になってくる。

だんだん冷静になって、洗濯物とか洗い物が終わったりする。


好きなことは案外できたりして、やっぱりこれは甘えなんじゃないだろうかと、幸せな気持ちになることを躊躇する。


こんなことで傷ついたらダメなんじゃないかとか、私は笑ってもいいんだろうかとか。


私には〇〇する資格がないシリーズは数え切れない。


ご飯を食べる資格なんてない。

冗談を言う資格なんてない。

買い物する資格なんてない。

家族に笑いかける資格なんてない。


ただ病気になっただけなのに、どうして犯罪を犯したような罪悪感に苛まれるんだろう。


私は、幸せになってもいいんだよ。

私は、声を上げて笑ってもいいんだよ。

私は、美味しくご飯をお腹いっぱい食べてもいいんだよ。

私は、空が綺麗だと思ってもいいんだよ。

私は、苦しいって、口に出してもいいんだよ。


ひとつひとつ、自分に言い聞かせて、許可を出してあげて、やっと皆が当たり前にしていることができるようになった。


でもやっぱり私なんかと思ってしまう瞬間があって、何度も何度ももうダメだと涙がこぼれて。


でもその度に、友達が言ってくれる言葉。


大丈夫大丈夫大丈夫。


私の魔法の呪文です。


私は大丈夫大丈夫大丈夫。

あなたも、大丈夫大丈夫大丈夫。

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