White Cube (第28回座談会公開済み)

エントリー#28


作品名   White Cube

作者名   夏野けい

作品URL  https://kakuyomu.jp/works/1177354054882721481



作品のキャッチコピー、あらすじ

『芸術ってさ、本当は他者に優しくなんてなかったんだよ。』


はたして未来に芸術は存在するか、みたいな話。


※七瀬夏扉様ご企画の〈カクヨム計劃トリビュート/〉に参加しております。初めてSFを書きました。きっと詳しいかたには歯痒いほど拙いお話であろうと思いますが、よろしくお願い致します。



作者からの一言、メッセージ


「初めて伊藤計劃を読んだのは五年ほど前、文庫版のハーモニーでした。本当に未来に生きているような世界観に圧倒されたのを覚えています。この企画に参加できたことを光栄に思います。ありがとうございました。」



座談会


ななせ「第二十八回『座談会』を始めて行きましょう」


七瀬 「今日は打って変わって真っ白な部屋の中での『座談会』なんだね?」



~まっしろー~



ななせ「はい。今回のエントリー作にちなんで、真っ白な部屋を用意してみました! では、早速今回のエントリー作品ですが、作品名は『White Cube』。作者さんは夏野けいさん。この企画がはじめましての作者さんです」


七瀬 「タイトルが『ホワイトキューブ』――つまり『白い立方体』なんだけど、これはどういう意味なんだろう?」


N氏 「1929年に開館した『ニューヨーク近代美術館(MoMA)』が導入した展示空間で――その後、展示の代名詞として用いられた。作中では以下のように語られる――」



引用 『まぁ私もほとんど受け売りなんだけど。で、こういう展示空間のことをホワイトキューブって呼んでいたんだ。白い立方体。まんまだね。作品への影響を抑えるためにこうした空間は生まれたそうだけど、実際こうやって見ると威圧的でしょ。皮肉なことに、ホワイトキューブはすごく特殊な空間。日用品ですら、ここに持ち込めばそれらしく見えてしまう。そこでひとつ質問。目の前にあるこちらの絵、どう思う』



ななせ「この物語は失われていく『芸術』を巡る物語で――物語全体が、この『ホワイトキューブ』をメタファーにすることで成り立っているんです。少し物語の説明をさせてもらうと、この世界は非常にAIと拡張現実ARが発達した世界で、人々はAR用のコンタクトレンズを装着して日々を過ごしています。ARの魚が道案内をしてくれたたり、行きかう人の顔が水の揺らぎに遮られて見えななかったりと、日々の生活の中に溶け込んでいます」


七瀬 「『虐殺器官』で言うところの『副現実オルタナ』だね」


ななせ「そうですね。物語は、二人の女性の『会話』と『回想』によって進んでいきます。もう直ぐ死を迎えるミナトに、主人公の『私』が会いに行くところから始まります。そして、この世界からは芸術というものが消えていて、人工知能が人間にとって心地良いと思えるものだけを提供してくれているんです。そんな消えゆく芸術――絵画を描いているのが、もう直ぐ死を迎えるミナトです」


七瀬 「芸術が消えてしまっているなんて寂しい世界だね……」


ななせ「はい。でも、そんな中でもミナトは芸術を諦めず、一つの希望を見出します。自分の死によって絵画という芸術を際立たせようと、主人公に『言葉』を託すんです。彼女自身が『ホワイトキューブ』になるために」


七瀬 「読み終わってみて思ったのが、この物語全体が『ホワイトキューブ』のメタファーであると同時に、ミナト自身が芸術の『メタファー』なんじゃないかってことだね。物語全体が、上手く彼女を引き立てていたように思う」


ななせ「僕もそう思います。あと、死を扱った物語なんですけど非常に読後感が良いなあと思いました。僕たちも、この『トリビュート』を参加してくれた作者さんたちの『ホワイトキューブ』になりたいなあと思いましたね!」


七瀬 「なるほど、今回はそのためのこの白い部屋だったんだね」


ななせ「はい。次回もそんな『座談会』をお送りしたいです。それでは――」



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