『海に還る』 (第19回座談会公開済み)

エントリー#23


作品名 『海に還る』

作者名  夕辺歩

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882742185



作品のキャッチコピー、あらすじ

『さあ父さん、一緒に海に還ろう』


無人島で暮らす父モーフィアスを説得するため、息子のトルマスはアンドロイド『トリンティ』にアクセスした。



作者からの一言、メッセージ


「「虐殺器官」を読んで衝撃を受けたくせに、私のSF観は未だ「マトリックス」あたりで足踏みをしています。好みの問題かもしれません。今回、それを素直に出してみました。」



座談会


NANA「第十九回『座談会』をはじめるよっ」


ななせ「まだいたんですか?」


NANA「あん? 何だって?」


ななせ「ひえっ……な、何でもありません」


NANA「よしっ! さっさとはじめな。今日も第一宇宙速度でかっ飛ばしていくよ」


ななせ「それを言いたいだけなんじゃ……今回のエントリー作品は『海に還る』。作者さんは夕辺歩さん。この企画がはじめまして作者さんです」


七瀬 「短編を中心に投稿をしている作者さんで、SFにはそこまで詳しくはないとのことだね。『虐殺器官』には衝撃を受けたらしい」


ななせ「『マトリックス』で足踏みをしているっていうのが良いですね! SF慣れしてない作者さんの書く短編なんて楽しみなじゃないですか?」


七瀬 「そうだね。この『海に還る』も、そんな作者が慣れ親しんできたSFへのオマージュで出来上がっているね」


NANA「どんな話なんだい?」


ななせ「人類の暮らすの土地の大半が海に沈んだ終末期の物語です。主人公のトルマスたち人類は海の底で暮らしているんです。だけど、わずかな人類は機械に頼りながらも地上で暮らしていて、トルマスは地上にいる父を迎えに行くために意識をアンドロイドに転送して地上に向います」


七瀬 「その父の名前がモーフィアスで、これが『マトリックス』のオマージュになっているんだよね。モーフィアスとネロがカンフーをやるシーンは何度も真似したなあ。手をクイクイってやる仕草がカッコイイだよね」


ななせ「やりましたね。銃弾を避けるシーンとかも。そんなモーフィアスに再会したトルマスは、父を海に連れて帰るために説得を試みるんですが、それが上手くいかないんです。せめて人間らしく最後を迎えさせてくれという父の言葉に、息子のトルマスは意味が分らないと困惑します」


七瀬 「ここらへんは価値観のぶつかりあいだからね。どっちが正しいとかはない気がするな。死に場所を選びたいって気持ちも分るよ」


ななせ「そうなんですけど……物語の後半で、どうも海の底の暮らしがきな臭くなってくるんですよね。人類はカプセルの中に繋がれて夢の中で生活をしているらしく、その人類を管理している機械は、カプセルの中の人類の発する電気で動いていると」


N氏 「この辺りは『マトリックス』と同じディストピア的な世界観を予感させる。機械によって支配されているとも言えるし、夢の中で幸せに暮らしているとも言える」


ななせ「ですね。そして、トルマスが父親を説得する理由の一つが、婚約者であるミサオとの子供をもうけるためなんですけど、この婚約者の存在が最後で一転した所はすごく面白かったですね」


N氏 「残念なのは、かなりいいところで物語を切っている――終えているというところだ。もちろん、提示できるものを全て提示している。読者に多くを委ねるタイプの物語で、我々の解釈をもって物語にピリオドを打つというのが正しい形なのだが、もう少しこの物語の先を読んでみたいと思ったというのが正直なところだ」


ななせ「そうですね。モーフィアスの最後の台詞がかなりインパクトがあって怖かっただけに、あの世界観をもう少しのぞいてみたいと思ってしまいますね」


七瀬 「いや、あえてこの先はのぞかないほうがいいのかもしれない。僕たちの頭で考え、現実でその答えを示していくことが大切なのかもしれないね」


NANA「考えるな――感じろってことだね。ロックじゃないかノッてきたよ!」


ななせ「…………」


七瀬 「…………」


N氏 「…………」


NANA「さぁ、これで今回の『座談会』は終わりだよ! 次回も第一宇宙速度でかっ飛ばしていくから振り落とされないようについてきなっ!!」



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