Word in Wonder World (第24回座談会公開済み)

エントリー#21


作品名  Word in Wonder World

作者名  物語生成エンジン

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882701958



作品のキャッチコピー、あらすじ

『わたしがそう思ったように、そう思うべきことを、社会に思わされる世界。』


人の精神を制御する〈言葉〉によって統制を受ける社会。その社会から自由を取り返そうと、自らの物語で社会に抗う弐島ヨクト。自由意思とはなにか。言葉とはなにか。ヨクトは自由を取り戻すことができるのか。(本作ではジョージ・オーウェルの『一九八四年』の内容に多少触れている部分があります。読んでいないよりは、読んでいる方が多少面白く読めるかもしれません)



作者からの一言、メッセージ


「『伊藤計劃からは逃げられない。だって、それはこの頭のなかにあるんですから』

結論はこんなパロディのなかに含まれています。この作品で書いたのは、伊藤計劃という言葉が宿った〈わたし〉です。このトリビュート参加作品は、ある意味ですべてそういう作品であると、わたしは勝手に思っています。伊藤計劃という偉大な存在から生まれたこの素晴らしいトリビュートが、また誰かの言葉として生きることを願います。」



座談会


ななせ「それでは、第二十四回『座談会』を開催しまーす」


七瀬 「今回も無事に開催できて喜ばしい限りだね」


ななせ「残響になるのはもう少し先ということで、さっそく『座談会』をはじめて行きましょう。今回のエントリー作品は『Word in Wonder World』。作者さんは物語生成エンジンさん。この企画を通じでツイッターで知り合った作者さんです。そして、この企画のために『カクヨム』でアカウントをつくって、今回の企画に参加してくれました」


七瀬「嬉しい限りだね。こういった出会いを大切にしていきたいね」


ななせ「本当に、そうですね。早速『Word in Wonder World』の話しなんですけど、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』を下敷きに、伊藤計劃テイストを取り入れた作品だと思います」


七瀬 「物語の冒頭から『一九八四年』が登場しているしね。この『一九八四年』っていうのはSF界では有名な作品なのかな?」


N氏 「『一九八四年』に関して言えば、SF界のみならず、幅広いジャンルに影響を与えた不朽の名作といえるだろう。『ディストピア』ものの始祖といっても過言ではなく――『真理省』、『ニュースピーク』、『二重思考』、『テレスクリーン』、『イングソック』など、後世に与えた影響を計りれない。近年では村上春樹氏の『1Q84』はあまりにも有名だ。今回のエントリー作品も、その影響が色濃く伺える」


ななせ「主人公の弐島ヨクトが行っている『言葉』を改変する仕事も、『一九八四年』の主人公のウィンストン・スミスの『真理省』での仕事に一致しますからね」


七瀬 「言葉を『改変』するっていうのは、どういうことだろう?」


ななせ「簡単に言ってしまえば大規模な『検閲』なんですけど、この世界では『言葉』というものにある種のSF的仕掛けが施されています。各『言葉』にはパラメーラーが割り振られているんです。『注目度』や『好意度』、『忘却促進指数』など。『言葉』は物語上で脳を制御する言語と説明されていて――脳に作用する『プログラム』と考えると分りやすいかもしれません」


七瀬 「僕たちが日常的に目にする言葉が、脳を制御する『言葉』に置き換わっているなんて恐ろしい世界だね」


ななせ「はい。しかし、この世界で暮らしている人たちはそんな怖れを抱くこともないないんです。完璧に制御された『言葉』によって統制がとられているので。でも、そんな『言葉』にたいして自由な考えを持つことができる人間もいます。それが。主人公の弐島ヨクトです」


七瀬 「『言葉』が通用しない人間もいるのか! わずかな希望だね」


ななせ「ごく少数、『言葉』に対して耐性のある人間がいます。そのことに目を付けられ弐島ヨクトは、『言葉』を発見した科学者と一緒に――『言葉』によって支配された社会を打ち破るために小説を書きはじめるんです」


七瀬 「小説が世の中を変えるカウンターになるって設定は、僕たちのように小説を書いている人間にとっては胸が熱くなるね」


ななせ「はい。しかし、それもなかなか上手く行かず、物語は袋小路に入っていきます。『一九八四年』と違って物語が完璧な絶望で終わらず、社会に対してカウンターの手を、わずかな希望を残して終わるのですが――その方法はぜひ読んで確かめてもらいたいですね」


N氏 「『ディストピア』物の醍醐味は、想像するだけで恐ろしい管理監視社会と、それを実現している管理監視方法。そして、そんな世界に放り込まれた登場人物たちの心理や行動によるところが大きい。たとえ、我々が『言葉』による規制の対象になったとしても、我々もネットワークの上のどこかで、この物語を語りつづけよう」


ななせ「これで今回の座談会は終わり。だが、この瞬間から僕たちの物語が始まる」


七瀬 「僕たちは終わらない」



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