それが仕事というものなのです

コンサルタントというなんだかよく分からない、でもカッコよさそう&頭良さそう&給料いいんだろうなぁチクショウめな仕事を舞台にした物語。
でも実際はあまりカッコよくもなく、すごく頭がいいわけでもない、お給料は……まぁこれは結構いい金額をもらってそうだけど、きっと今の日本ではどこでもあるようなお仕事風景が展開されるのだった。

コンサルタントって確かにカッコイイイメージがありますよね。
会社が抱える問題にこっちがうーんうーんと頭を悩ませているところへ「その問題、私たちなら解決できますよ!」って颯爽と現れ、ぱっぱっぱと手際よく問題解決してしまうイメージ。うん、なんだそのヒーローものみたいな貧相なイメージは、って思うけど仕方がないじゃないか、そんな想像しか浮かばないんだもの。

だけどこの物語が描く実際の姿は、
「うーん、20点。これじゃあダメなんだなぁ」と上司にダメ出しされ。
「明日までに作りなおせ」と言われて徹夜し。
なかなか懸念事案が進まず、想定外な問題が頻出し、足を引っ張る困ったさんがいて、地獄のスケジュールの中、意気投合した同僚や上司と愚痴を言い合いながらも仕事する……。

オイオイ、なんだよ、それ。それじゃあまるで俺の仕事と何ら変わらないじゃないか。「私にお任せください!」ってキレ者なイメージは何処に行った? アレはウソか、ウソなのか!?

うん、勿論ウソじゃないと思います。ただ、その姿を見せてクライアントの信頼を勝ち取る裏では、かくも苦労があるだけで。
そしてそれは多分多くの仕事でも同じだと思います。
何かを作ったり、販売したり、サービスしたり。お客様に見せるものはとても整った奇麗なものだけど、その裏では見せることができない葛藤があるんだよ。
「もうテキトーでいいか」と作ってる最中に何度も投げ出したくなったり。
顔はニコニコしているけれど、実は「疲れたなぁ」と疲労困憊だったり。
そしてその度に「もう地球なんか滅んでしまえ。俺以外のみんなも不幸になれ」と世界を呪うんだ。
だけどテキトーにはすませられないし、疲労を笑顔で覆い隠すし、地球を滅ぼしたりなんかもしない。
何故ならそれが仕事ってものだから。

サボれるものならサボりたい。でも、サボれない。日本人気質な生真面目さが憎たらしい。
でも、そうして成し遂げた後の達成感、解放感は嫌いじゃないんだよね。一仕事終えた後のなんてことはない居酒屋のビールと焼き鳥がなんと美味しい事か。この一杯の為に生きている、とか言うけれど、多分それは日本人だからこそ心から堪能できる感覚じゃないかな。ワーカーホリックジャパン、バンザイ! 今日も僕たちはクソったれな仕事にまみれて必死にサバイブする。それが生きている証なんだよ、きっと!

ってことを香港人と結婚した妹と電話で話したら「でもうちの旦那が『なんで日本人ってなんでも部下に考えさせようとばかりするの? 僕だったら80点ぐらいの内容はしっかり出来るように指示して、残りの20点をその人が付加できるかどうかを見るよ。そっちの方が失敗もないし、楽じゃん。日本人って失敗を繰り返しすぎじゃね?』って言ってきて、私、何も言い返せなかったよ」と言われて、僕も何も言えなくなりました。

そうなんだよね、自分で考えて行動出来るのは大切なんだけど、もっと効率を考えたやり方をすればきっと残業とかも減って、みんながハッピーな人生を(以下延々と愚痴が続くので割愛いたします

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