第5話
こうして試合は着々と進み、ついに俺の出番となった。
「シュウくん、頑張ってくださいね!」
「おう、任せとけ肉のために頑張るぜ」
アンリの声援を受けて俺はステージに上がる。対戦相手は同い年くらいの金髪のイケメンだった。プレイヤーネームは『ライト』手に持っているのは神々しい剣である。鑑定を使用してみると『聖剣エクスカリバー』と鑑定結果がでる。聖剣とかマジかよ、やめろよ。
そんなライトは爽やかに笑うとこう言った。
「お互いに全力を尽くしましょう!」
「え?ああ、うん。そういうタイプね」
あー、ダメだ。俺の苦手なタイプだ。
俺が軽く萎えていると審判が試合開始の合図をする。
「いきますよ!」
「ちっ!『【設置】【壁】【3 2 6】』!」
ライトがエクスカリバーを振ると斬撃が飛んできたので
ライトは油断なく剣を構えて言う。
「やりますね…!」
「人のこと言えねえだろ【ウインドランス】」
返事と同時に【ウインドランス】を放つが剣によって防がれてしまう。
仕方がない…決勝まで取っときたかったんだがなあ…
「『【設置】【壁】【4 6 10】』」
「またそれですか?無駄ですよ!」
壁を俺が作るとライトは笑ってそう言った。しかし残念だったな、今回は秘策があるんだよ!
俺は壁を設置するとその壁に向けてあるアイテムを放り投げる。
瓶は砕け、中から黄色の粉が舞い散る。
そんな俺の行動に気づかずにライトは壁を切り裂いて距離を詰めようと一歩踏み出して__静止する。
「あっはっはっは!成功したみたいだなあ!」
「な、なにをした!」
あまりの驚きからかライトの口調が崩れている。そっちが素か。
驚きのあまり固まっているライトに向かって俺は笑いながら言ってやる。
「なに、簡単な話さ。お前さ、『異形狩り』ってゲームやったことあるか?」
「ええ、ありますが?それがどうかしましたか?」
「そのゲームに捕獲用のアイテムで『パラライズボム』ってあるじゃん?」
「ええ…って!まさか!」
今頃気づいたか、鈍臭い奴め。
ニヤリと笑って俺は言ってやる。
「作ったんだよ。簡単な話、お前は今【麻痺2】の状態異常にかかっている!お前見るからに耐性系にスキル振ってなさそうだもんな?まあ、振ってたとしても大して変わらないけどな?」
初期のスキル程度じゃ防げるはずがないのだ。なぜわかるのかというと1度スキル持ちのモンスターで試したからな。
そんな風にニヤニヤと笑いながら言う俺に腹を立てたのか大声でライトは俺を糾弾する。
「君はこんな戦い方をして恥ずかしくないのか!」
「恥ずかしい?」
なにを言っているんだこいつは、肉がかかっているのに卑怯もクソもないだろ。
「恥ずかしくもなんともねーよ。それともお前は全力を出さずに負けて死んでもいいわけ?」
ライトが何か言いたそうだが俺は勝手に続ける。
「まあ、なにが言いたいのかというとだな。…勝てばそれでいいんだよ!」
俺は満面の笑みでそう答えてやると悔しそうなライトの叫び声が響いた。
◆◆◆◆◆◆◆
「し、勝者シュウ…!」
審判の合図とともに俺はステージ上から降りた。ちなみに、ライトは悔しさからか泣いている。男の泣き顔なんて見たくないぜ。
あの後ライトとの試合は一方的なものとなった。まあ、具体的に言うなら風魔法と火魔法で延々と
意気揚々と座席に着くとアンリからジト目で一言。
「相当根暗ですね」
「…」
心外だ別に俺は悪いことはしていない。いや、わざと顔を狙った攻撃をしたが、別に根暗って言われるほどではないだろう。悪いのはあいつだ!イケメンだったから!
俺が脳内で誰に向かってかわからない言い訳をしているとアンリがため息をついて言う。
「まあ、何はともあれ1回戦勝ち抜きおめでとうございます」
そう言うとアンリは右手を拳の形にして差し出してくる。俺はその意図を察知して右手で拳を作って軽くその拳にぶつける。
「おう、ありがとな」
そう言って笑いかけると、そんな俺を見て呆れた様にアンリも笑った。
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