第2話

 しばらくすると目の前に半透明のプレートが現れる。


『プレイヤーネームをつけてください』


 なるほどプレイヤーネームか…うーん、まあシュウでいいか。シュウ、と…


『それではシュウさん、固有技能オリジナルスキルにしますか?固有装備にしますか?固有職業にしますか?』


 ん?ああ、そうだな…それじゃあ固有技能にしよう。いいものが当たりますように。


『それではシュウさんゲームをお楽しみください』


 そんな文章が出た後、真っ暗だった俺の目の前がいきなり明るくなる。先ほどまで暗闇だったため目が慣れず少しの間目を細めていると、段々目が慣れてきたのかあたりの様子がわかった。

 まず初めに目に飛び込んできたのはとても大きな城である。世界史の教科書で見た様な立派な城が建っていたのである。さらに辺りを見渡してみるとプレイヤーであろう男女がどんどんと増えていた。

 ちなみにこのゲームにはキャラクターメイキングというものが存在しない。と言うよりもこのゲーム内通貨で見た目の変更ができるのである。

 毛先が跳ねた黒髪、そこそこの身長。背後にあった巨大な金属柱モノリスに反射していた俺の姿は、まさに現実と寸分違わぬものだった。


「にしてもすごいな…って、そういえば【ステータス】」


 俺がそう言うと目の前に半透明のプレートが現れる。そこにはこう書かれていた。


◇◇◇◇◇◇

名前:シュウ

性別:男

レベル:1

職業:メインジョブ【錬金術士Lv.1】

  サブジョブ 【盗賊Lv.1】


HP:125

MP:100

STR:10

DEF:10

INT:25

MEN:20

VIT:15

DEX:50

SPD:40


〈技能〉

固有技能:【法則介入Lv.1】


通常技能:なし(残り10)


〈装備〉

武器 :なし

頭  :なし

防具 :布の服

   :布のズボン

靴  :皮の靴

装飾品:なし


【所持金:2000L】


◇◇◇◇◇◇


 なるほど、俺の職業は錬金術士か。それにしても武器なしは酷くないだろうか。まあ、その分スキルが強力なんだろう。【法則介入】か…よし、早速使ってみるか。


「【法則介入】…ってこれなんだ?」


 俺が【法則介入】を使用すると目の前にプレイヤーネームを入れたときと同じような画面が現れる。しかし、何もせずに30秒ほど放置すると消えてしまった。一瞬失敗という文字が頭に浮かんだがステータスを見たところMPが10減っているのでそれはないと思いたい。


「まあ、それはいい。そんなことよりスキルだスキル」


そして結果…


◇◇◇◇◇◇

名前:シュウ

性別:男

レベル:1

職業:メインジョブ【錬金術士Lv.1】

  サブジョブ 【盗賊Lv.1】


HP:125

MP:100(+25)

STR:10

DEF:10(+3)

INT:25(+5)

MEN:20

VIT:15

DEX:50

SPD:40


〈技能〉

固有技能:【法則介入Lv.1】


通常技能:【錬金術Lv.1】【魔法Lv.1】【かぜ魔法Lv.1】【罠感知Lv.1】【罠解除Lv.1】【罠作成Lv.1】【敵感知Lv.1】【鑑定Lv.1】【魔力増加[小]】【魔術の心得Lv.1】


〈装備〉

武器 :なし

頭  :なし

防具 :布の服

   :布のズボン

靴  :皮の靴

装飾品:なし


【所持金:2000L】


◇◇◇◇◇◇


 【魔力増加[小]】はMP上昇系のパッシブスキルである。ステータスの横の(+25)はこのスキルの効果である。スキルレベルを上げることで更に効果は高くなるらしい。

 なぜ武器系のスキルを取っていないのかというと、単純に武器系のスキルが存在しないからである。

 ちなみにスキルスロットはレベルが20上がるごとに2つ増えるらしい。なぜ10レベルで1つじゃないのかはわからない。こだわりか何かなのだろう

 結局固有スキルの使い方はわからなかったが、とりあえずこれで戦えるだろう。

 こうして俺は街の外へと向かったのだった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「よし、それじゃあ始めるか!」


 街の外へとやってきた俺は軽く準備運動をする。それにしても、日の光といい、風といい、土の香りといい、本当にリアルだな。ここが異世界だと言われても納得できるレベルだぜ。

 そう1人で感動していると目の前に小さな影が、見てみるとそれは小さくて緑色の小鬼だった。黄ばんだ犬歯を見せて「ゲッヘッヘ」と笑っている。汚い。

 鑑定を使ってみると【ゴブリン】と表示された。あれがゴブリンか…思ってたより汚いな…

 そんな感想を心の中で述べているとゴブリンがこちらに向けて棍棒を振り上げながら走りこんできたので、その頭を足で抑えるとゴブリンはそれ以上進めなくなってしまう。


「【ウインドカッター】」

「グゲッ」


 俺が風魔法を唱えると見事にゴブリンの体を切り裂いたようでゴブリンはその場に崩れ落ちる。そして、その身体からしばらく血が流れると光の粒子となって消えてしまう。血が妙にリアルで臭いもしたもんだから吐きそうになった、そこまでリアルにしなくていいんだよ。

 すると目の前にリザルト画面が出てきて今回の戦闘で得た経験値とLを表示する。

 そんなこんなで1時間ほど戦った結果がこれだ。


◇◇◇◇◇◇

名前:シュウ

性別:男

レベル:8

職業:メインジョブ【錬金術士Lv.1】

  サブジョブ 【盗賊Lv.3】


HP:155

MP:200(+25)

STR:30(+2)

DEF:25(+3)

INT:60(+20)

MEN:40

VIT:25

DEX:95

SPD:75


〈技能〉

固有技能:【法則介入Lv.1】


通常技能:【錬金術Lv.1】【火魔法Lv.5】【風魔法Lv.8】【罠感知Lv.1】【罠解除Lv.1】【罠作成Lv.3】【敵感知Lv.4】【鑑定Lv.3】【魔力増加[中]】【魔術の心得Lv.2】


〈装備〉

武器 :粗末なダガー

頭  :なし

防具 :布の服

   :布のズボン

靴  :皮の靴

装飾品:なし


【所持金:5080L】


◇◇◇◇◇◇


 装備品の粗末な短剣はゴブリンのドロップアイテムである。ちなみに鑑定で出た結果がこれである。


『粗末な短剣:ボロボロの短剣。今にも壊れそうである【特性:不壊】』


 今にも壊れそうなのに壊れずの特性とは、これは如何に。だが、ある程度所持金も貯まったことだしもう少し強力な装備に変更した方がいいかもな。

 こうして俺は装備を整えるために街へと戻るのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る