第25話 質問!島の住居事情

 四月第二週になり、三月組と四月組が全員揃い、試用期間という名の危険人物を止めさせる格好の安全策を手に選別を行っていく。

 使える使えないよりも、会社へ損をさせたり、人間関係を壊して仕事に支障をきたすような人物を排除する方が昨今では重要である。

 能力が低くとも、コミュニケーション能力がまともなら使えるようにする事は難しくない。

 一昔前のように怒鳴ったり、威圧して仕事を教えると間違いなくアルバイトは辞めるので、ひたすらマニュアルを監守させる。

 マニュアルには、困ったら即正社員に相談すべしという意味合いの言葉が多くみられる。


 亜夢の会社の正社員の離職率は高い。

 店舗で働く人は体を、本社で働く人は精神を病んで退職していく率が高い。

 店舗で働く人の方が駄目になる年数は短く、3年以内に半数が辞めていく。

 亜夢も30近くなり、体の無理が利かなくなってきた。

 例の大学生の男子が、自分が正社員である事だけではなく、年上な事からも女扱いされない事になんとなく心の中の何かが重くなっている。

 20代の前半と後半では扱いがガラリと変わるあたりに、男性不振が募るのはしょうがないだろう。


 仕事が終わり帰宅すると、住居そのものがどうなっているのかを九十三氏にメールで送る。

 ごみ処理への回答の方が読む時間が少なそうなので目を通す。

 焼却炉は犬用、猫用、人間用、畑用の四台を確保。

 一台あれば足りるが、精神衛生的に分けた。

 小さなドラム缶のような形をした円筒の金属製の物に入れて900度と高温で焼く為、ダイオキシンなどの有害物質の発生は限りなくゼロに近い。

 犬用・猫用の灰は犬と関係者の住んでいる犬ゾーンの端と、猫と関係者が住んでいる猫ゾーンの端それぞれに埋めている。

 畑用の灰は溜めて、春先の野菜を植えるシーズン直前に畑に撒く。

 人間用の灰は、塩分を含んでおり畑には使えないので、人間ゾーンに埋めている。

 焼却できないものは、ガラスや鉄等の素材別に分けておき、一年に一度島の外の引き取り業者にそのまま持ち込み処理、もしくは買取をしてもらう。

 ガラスについてはガラス溶解炉があり電気で動く。

 万が一島から出られなくなった時の為に、ガラスの再利用目的に作られた。

 島にある簡単な形の器は、九十三氏の叔母が作ったものである。

 冬の暇な時に行う趣味の一つだった。


 繁殖力の強い野菜である牛蒡は島で作らない。

 畑に関する作業は一人で行うのが基本の為、駆除の必要すらある牛蒡は島で作るのには向かない為である。

 ハーブは同じような理由で、廃棄処分される事が決まった船を再利用した専用のブースで作られている。

 万一直に土の上に植えたなら、歴史上雑草の中で効能のあるものをハーブとして利用する事になっただけあり、その繁殖力ゆえ草むしりに追われる事になる。

 

 ハーブの記述を読み始めたあたりで、亜夢は眠りに落ちた。

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久しぶりに一時間以内で書けました。

家族の一人は相変わらずインフルエンザで寝込んでます。

 

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