等価交換

いつからだろう、俺は病院にいるのか。でも微かに感じて暖かい感触。誰か俺をここに運んでくれたのか。にしてもこの人はいったい…


「わるいね。俺は君と何処かで会ったことがあるかな?それに手まで握ってもらって。もしかして俺を助けてくれたのは君なのかい?だったらお礼がしたいよ。ありがとう」


「あなたが道端に倒れていたから。偶然通りかかったからよかったけど。あなたあのままだったら死んでたわよ。どうみても。何か事情があるみたいだけど、いいわ。聞かないし。そんな踏み込んで問い詰めはしないもの」


君がいたおかげで俺は助かったのか…

柚希は、柚希は、、、


「ありがとう。その気をつかってくれて。本当に申し訳ない」


「いいのよ。別に。私にも弟がいてね、ちょっとばかりあなたが似ていたから。放っておけなくてね。兄弟はそんなものなのよ」


「兄弟、、、俺の妹はたぶん消滅したんだ。代償として。所謂等価交換ってやつだよ」


「はぁ?」


これは夢なんかじゃない、ゲームだ。

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