「俺はこれからお前達を殴らない」秘めた情熱で部員たちを花園に導け!

 「三年以内に高校ラグビー部を花園に出場させる」。冒頭で告げられる課題。
 主人公の前任者は明確な指標を持たずに、部員たちに当たり散らしただけ。
 そのため部員数もそろわず、モチベーションは休日の草野球のようにどこか緊張感を欠いて――――

 部長からは自主性を重んじて、過干渉しないでほしい。
 改革を目指したいのに、周囲の教師からは威圧的な態度でマウントを取られる。
 精神的に疲弊しても、肝心の彼女はその場にいない。
 ある意味では無理難題に近い、それでいてクリアするタスクに満ちた状態の現状。

 いきなり頭ごなしに持論を振りかざすのでなく、部員たち一人一人の個性や意見を尊重する。
 ラグビーのみに専念させるのでなく、勉強や受験、生徒の進路と両立させる方法論を展開するスタンス。

 かつて一世を風靡した、パワハラ上等の熱血指導ではない。それでも様々な高校で生徒を育てた主人公の、熱意のこもった指導に心打たれます。
 テレビドラマを見ているような、丁寧な描写で読み進めていけます。

 現在本編の年代は2015年。主人公は自身に課せられた課題、三年以内に部員たちを花園に導けるのか。

 女子マネージャーたち、可愛い……(-_-).。o○0〇
 

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