第2話 キッカケ



「うわー!魔物が出たぞー!!」

「逃げるんだ、はやく!」


 2年ほど前だろうか。

 俺は王城地区に暮らしていた。

父と母との三人で、それなりに幸せで、快適だった。

その頃から、魔物は存在していたのだが、国王率いる聖騎士団が王城周辺の平和を守っていた。


王は後ろから指示するだけでなく、

自ら斬り込んでいくことも多かったそうだ。


 あるとき、王はいつものように斬り込んでいき、

魔王に敗れた。戦場での負けは、ほとんどが死を意味する。このときも例外ではなかった。


王の没後、統率を失った騎士たちだけでは

町を守れなかった。


 それから、魔物は侵攻の勢力を強めていった。

家は崩され、畑は荒らされ、家畜は殺された。

侵攻された土地では作物も育たない。

幸い、うちの両親は共々命に別状はなかった。




 それから、半年経ったとき父さんは言った。

「よぉし、お前、魔物の親玉倒してこい!」

「...え?」

何が、よぉしだよ。何一つ良くないよ。

「ってか、父さん。意味わかって言ってる?

聖騎士が負けたんだぞ?俺に、死ねと?」

「まーぁ、お前はオトコだし、なんとかなるだろ!ガッハッハ」

誰か助けてくれ。話が通じない。

「確かに、誰かがやらなきゃいけないのはわかる。でも、何で俺なんだ⁉」

と、申し訳程度の反論を講じてみる。

「そんなもん、なんとなくに決まってんだろ」

決まってないわ、バカ。

「...行かねぇからな!」

そういって、家を出たら


「おぉ、イリス!あんた、魔王を倒しに行くんだってな!頑張れよ!」

イリスとは俺の名前だが、声の主は見知らぬ人だった。というか、なんで、魔王って。先手を打たれていたのか。 くそ、してやられた...!


半ば、追い出されるように魔王&魔物討伐の旅が始まったのだった。










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