THE GODS ——新人騎士は守護神を目指す——

きんぐ

プロローグ

第0話  独白

 私がいつ生まれたのかはもう覚えていない。


 人の子であるのは確かだが、私には寿命というものがなかった。


 膨大な魔力と傷付く事も老いることもない肉体によって数えるのが馬鹿らしくなる程の時を過ごした。


 完璧な肉体をもってして100年200年と生きれば、賢者と呼ばれ文明の発展に貢献するようになるのは当然の事だろう。


 人の繁栄のために知恵と力を使う内に幾星霜いくせいそうの時が経った。原始的で農耕すらなかったその集落は、別の地域で発展してきた種族とも交わり、100万人規模の国家群を形成するまでに至った。


 度重なる悪魔や龍種、災害等の脅威から人々を守り続けた私はいつしか賢者ではなく神と呼ばれるようになっていた。皆は人の世は安泰だと言ったが、私は人類の平穏はそう長く続かないことを危惧していた。私の魂の力がもうあまり残されていなかったからだ。


 私が去った後の人類が発展成長を続けることを願い、私は世界の法則を書き換える一つの魔法を使用した。生物の魂の器の上限値を取り払うという秘術だ。


 私の次に続き、この国の守護神となる者が先の世の平穏を守れるようにという願いを込めた。


 それが失敗だった。

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