第8話 何気ない日常

 その秘密を聞いた晩、私たちが何をやったのか、ほとんど覚えていない。

 ただ風呂に入り、夕食を食べ、普通に寝床に入ったような気がする。


 次の日、目が覚めると、昨日の夜と打って変わって空には雲一つ無い快晴だった。私は会社に行く支度をしながら佳子を呼んだ。


「おい、佳子?」


 返事は無かった。

 だが私は佳子を探す、というような事はしなかった。やけに静かな朝だった。

 私はいつも通り支度が出来るとテレビを消し、家の鍵を取ると、そのまま会社に行くために玄関を抜けた。


 通りはいつもと比べて異常な位に人通りが少なく、とても静かだった。

 こんな生活もいいかな、私はいつの間にかそう思うようになっていた。


 しかしそう思えるのも後少しだろう、私はここにはいられない。何しろ絶対に知ってはいけない「秘密」を知ってしまったのだから。

(了)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

絶対に知ってはいけない秘密 木沢 真流 @k1sh

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ