この素晴らしきラブストーリーに祝福を

桜人

第1話

 この異世界で過ごした初めての夏も、そろそろ終わるを迎える頃。

 俺、佐藤和真は今日、女の子と2人きりでお祭りデートのようなものをする事になっていた。

 苦節16年。ついに俺はリア充の仲間入りを果たしたのである。

 待ち合わせ場所のギルドの前で沈みかけた夕日を見上げながら、ここまで長かったなぁ〜などと物思いに耽っていると、ふと前方に辺りを見渡している見知った少女を見つけた。

 向こうもこちらに気づいたらしく、手を振りながらこちらに向かってちょこちょこと走ってきた。

 よほど急いで来たのだろう。俺の前に辿り着くと、しばらく膝に手をついて肩で息をしていた。

 そして一呼吸置いてから、 「遅れてすみません!待ちましたか?」

 とめぐみんが申し訳なさそうに上目遣いで見つめてくる。

 確かに約束していた時間には間に合ってはいないが、そこまで遅れたという時間でもない。

「いや俺も今来たところだよ。」

 緊張からかいつものような軽口を叩く余裕がなく、咄嗟に嘘をついた。

 嘘を見破るあの魔道具があったらヤバかった。っていうかあれ開発したの誰だよマジで・・・。

 当たり前の如く、現実世界でデートなんざしたことのない俺は、男としてここはあえて遅れていくべきかとも考えたが、結局女の子を待たせるのは良くないと思い、待ち合わせの時間より少し早めに指定されたギルド前に来ていた。それも考慮しての遅れたなのだろうか・・・。

「そうですか。それは良かったです。」

 めぐみんが安堵した表情でこちらを見る。

 何故、家から祭りの会場まで一緒に行かなかったのだろうとずっと考えていたが、めぐみんの姿を確認して初めてその理由を理解した。

 浴衣だ!ジャパニーズ浴衣!

 そうか。浴衣を着付ける為に今日これまで別行動していたのか。

 愛いやつめ。

 これまでこの世界には浴衣というものは伝承くらいでしか存在してなかったが、この前バニルに浴衣の制作を提案し、ウィズを含めた3人でデザインを考え、そして業者に生産を依頼して売り出した結果、売れに売れ現在俺の周りにはたくさんの浴衣を着た人で賑わっている。

 しかしまだ着慣れていないからか、変な着方をしている人もちらほら見かけるが・・・。

 めぐみんはというと着付けもバッチリで、何より花柄があしらわれた赤色の浴衣がよく似合っていた。

 めぐみんのトレードマークであるいつものトンガリ帽子、大きな杖、マント、眼帯などは装備しておらず一瞬誰かと思ったが、その整った顔立ちや、最近伸ばし始めたツヤのある黒い髪の毛、さらにはまだ少し幼い体型を見てすぐにめぐみんだと分かった。

「あのっ!私の浴衣!どうでしょうか・・・」

 めぐみんが上ずった声ではあるが、浴衣についての感想を尋ねてくる。

 おそらく向こうも緊張しているのだろう。ここは男である俺がリードしていかなければ。

「ひゃっ、100点だ。似合ってるよ」

 いかん。早速噛んでしまった。

 やっぱり慣れてないから緊張しちゃう!

 俺の感想を聞いためぐみんは相好を崩して笑い出した。

「ふふふっ、やっぱりカズマはカズマですね」

「どういう事だよ」

「そのまんまの意味ですよ。さぁ行きましょう」

 俺の抗議をサラッと受け流してめぐみんが前を歩いていく。

 あれ?これむしろ俺がリードされてません?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 祭りとはいっても、日本の祭りとは全然雰囲気が違う。

 俺が発案しておいてなんだが、中世ヨーロッパのような街並みに浴衣の組み合わせには、どこか違和感覚える。

 外国の祭りに浴衣を着た人々が迷い込んでしまったようだ。

 ふと夜の街を照らす街灯が目に映る。

 よし、次の祭りは提灯やそれらしいものを設置してみるか

 なんて完全にアドバイザー目線で祭りを見渡しているといつの間にか隣を歩いていためぐみんに声をかけられる。

「やっぱり祭りはいいですね。アクアやダクネスも連れて来たかったです」

「あぁ、そうだな」

 ダクネスは家の用事で忙しいらしい。

 アクアもなんか仕事があるから無理とか言っていたが、どうせ祭りの何処かで宴会芸を披露する仕事でも頼まれたのだろう。

「まぁ私としては2人きりも悪くないですが・・・」

 めぐみんがボソッとつぶやくような声で言った。

「え?何て?今なんて言った!?」

 聞こえていたがあえて聞こえてないフリをする。

「なんでもありませんよ」

 チッ!もう一度言わせようとしたが失敗した。

「カズマは本当に畜生ですね。だからクズマとかカスマとかバカマとかクソマ言われるんですよ。」

「なんか増えてねぇ!?」

 コイツしれっと悪口を追加してきやがった。

 いや、陰で悪口を言われてるのは知ってるけど!それ以上増やすと俺ホントに泣いちゃうよ?

 しばらく話しているとお互い緊張がほぐれてきて、段々いつものやり取りができるようになってきた。

 と、ここでめぐみんが何か見つけたようで近くの出店を指さす。

「カズマカズマ!射的ゲームがありますよ!この前みたいに良いところを見せてください!」

 この前というのはエリス&アクア感謝祭の事だろう。

 あの時は俺の射的スキルを駆使して出店の景品を片っ端からゲットしてやった。

 ま〜た性懲りもなく店を開いてやがるのか。

 仕方ないな、と俺は射的ゲームの出店に近づいていく。

「おっちゃん!射的一回!」

 俺を見た店主の顔が青ざめる。

「お前!この前の!」

 どうやら顔を覚えられているらしい。

 まぁアレだけ店を荒らしてしまったのだから当然だろう。これ以上陰口を叩かれるのは嫌なので今回は一回だけにしておくか。

「まっ!まぁいい!この前みたいにいくと思うなよ」

 と店主が不敵な笑みを浮かべながら射的の銃をと弾となるコルクを渡してくる。

 俺は不思議に思いながらそれを受け取り弾を込め、射的スキルで狙いを定めて撃った。

「パンッ!」という乾いた音とともに銃から弾が発射され、見事景品であるジャイアント・トードのぬいぐるみに直撃する。

 が、ぬいぐるみはびくともしない。

 おかしいな。ちゃんと狙って当てたはずなのに。

 2発目もぬいぐるみに命中したものの、弾がぬいぐるみに弾かれてしまった。

 おいおい。

「これさぁ〜なんか細工してるだろ」

「さぁ?知らねぇな」

 店主がすっとぼける。

 もうこれ絶対なんかしてるだろうというような反応だ。

 まぁ大方、景品を台に固定してるとかそんなだろう。

 セコイ商売してやがるぜ。

「くっ!杖があれば爆裂魔法を店に打ち込めるのに・・・」

 めぐみんがおっかない事を言い始め、店主の顔が引き攣る。

「お前は街を滅ぼす気か!」

 爆裂魔法の威力だとこの店はおろか、周囲にある建物まで崩壊してしまうのでやめてほしい。

「しかし!この悪事を許すことはできません」

 まぁそれもそうだ。

 何も事情を知らず隣で射的をしていた小学生くらいの子が、景品を取れず悔しそうに去っていくのを見て思った。

「しょっ!証拠もねえのに人を疑うんじゃねえ!」

 漫画とかアニメでよく見る犯人のお手本のようなリアクションだ。

「分かった。そっちがその気ならこっちも容赦はしねえ」

 卑怯さで俺に勝てるとでも思ったか。

 俺はニヤリと笑うと最後の弾を銃に込め、そして撃つ。

 3発目も見事に景品を捉え・・・パキッという音とともに、景品のぬいぐるみが台から地面に落ちる。

 これにはおっちゃんもめぐみんも驚いている。

「おいテメェ!何をした!」

「別にぃ〜?ちょっと銃と弾を魔法で強化したくらいで何もてねぇよ」

「してるじゃねぇか!」

「まあまあ。それはお互い様だろ?それに魔法を使ってはいけないなんていうルールどこにもないてねぇしな。」

 そう。俺は最初から射撃スキルを使っていた。今回はそれに加えて強化スキルを使っただけの話。

 そんな言葉を交わしつつゲットした景品の元へ向かい、拾い上げ、底を確認する。

 うん、なんか接着剤のようなものがついている。

「気が変わった。おっちゃん!もうあと10回追加で」

 一回3発なのでそれくらいあれば、この射的屋の景品を全てを取ることができるだろう。

「もうやめてくれぇ〜・・・」

 店主が頭を抱えて座り込む。

「さすがカズマです!クズさにおいては右に出るものはいませんね!」

「いや、それ褒め言葉じゃないから!」

「褒め言葉ですよ」

 と言って小悪魔的な笑みを浮かべるめぐみん。

 その笑顔に思わず見惚れてしまいそうになる。

 くぅ〜!なんだよコイツ!職業アークウィザードじゃなくて悪魔なんじゃねえの!?

 その後、射的屋の景品を全て取ったのだが、全てを持ち歩く事は不可能なので、近くを歩いていた子ども達にそのほとんどを分けてあげたのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 射的屋を出た後もめぐみんと2人でヤキソバ進化させたヤキソバパンや、クラーケン焼きを食べ歩きながら色んな出店を見てまわった。

 またしてもオタマジャクシ釣りの店を開いていたセシリーをしばいたり、アクアが得意の宴会芸を披露してるところを遠目で見たりもした。

 そしてあっという間に楽しい時間は過ぎて、残すはメインイベント花火大会(害虫駆除大会)のみとなった。

 今俺たちは街の一角にあるベンチで休憩している。

「今日は楽しかったですね」

「あぁそうだな」

 リア充ってこんな感じなのか。うん、悪くない。

「あっ!そういえば!」

 と言ってポケットに入っているさっきの射的屋の景品でゲットした2つのヘアゴムの様なものを「ほいっ」と言ってめぐみんに投げ渡す。

「それやるよ。髪、伸ばすんなら邪魔になる事もだろ?」

 伸ばし始めたのは最近だから、まだそんなに伸びてないが、そのうち使う機会があるかもしれない。

「えっ?あ、ありがとうございます。」

 めぐみんは受け取ったそれを、クリスマスプレゼントを貰った子どものように、嬉しいそうな表情で眺めていた。

 その後、少し間を置いてからそのゴムを使って後ろ髪を結んだ。

「どうですか?」

 ベンチから立ち上がり俺に背中を向けてミニツインテールみたいになった髪を見せてくる。

「それでも充分可愛いけど、ツインテにするならもうちょい髪が長い方がいいかもな」

 なんて言いつつ、なんとなく俺も立ち上がってそれを見ていると、ツインテになっている髪の隙間からチラリと綺麗なうなじが見えた。

 うなじ・・・それは男のロマン。

 めぐみんは、まだまだ子どもなのに何故か色っぽく見えてしまう。

 思わず目を背けると、めぐみんも顔を赤らめる。

「改めて可愛いなんて言われると、なんかその・・・照れますね」

 あぁ、その顔もまた可愛いな。

 なんて考えていると遠くからパンッ!という炸裂魔法の音が聞こえてきた。

 メインイベントの開幕を知らせる合図だ。

「さぁカズマ!ウィズのお店に杖を預けてあるので、それを受け取って狩りに行きましょう!」

 と言って走り出そうとするめぐみんだったが。

「痛っ・・・」

 と言ってしゃがんでしまう。

 痛そうにしているめぐみんを再びベンチに座らせて怪我の様子を見る。

 う〜ん・・・これはしばらく動かさない方がいいな。

「すみません。あまり慣れてないものですから・・・」

 めぐみんが自分の足をさする。

 その足は赤く腫れていた。

 俺としたことが迂闊だった。浴衣といえば下駄だ。

 いつものブーツとは違い、だいぶ歩きにくいはずだ。慣れてないなら尚更。

「いや、こっちもその・・・なんだ・・・悪かった。」

 てっきりブーツを履いてるものだと思い込んでいた俺は、めぐみんの足元まで気をつかえてなかった。

「しかしどこでそれを手に入れたんだ?」

 そう、確かに「浴衣といえば下駄」とは企画段階から常に言っていたし、デザインなどの詳細もバニルやウィズには教えた。でも実際、今のところ生産されているのは浴衣だけで、下駄はまだ生産されていないはずだ。

「あぁ、これはデートに行くならこれを履いていけとあの仮面悪魔が・・・」

 そうかアイツ裏でこっそり作ってやがったのか。

 ん?それより今デートって・・・。

「アイツ・・・」

 そんな事言ってやがったのか。

「で?お前もデートって思ってくれているのか?」

「はい」

 めぐみんがさも当然のように答える。

 俺はずっとそのようなものだと思ってはいたが、まさか向こうもそう思ってくれてたとは・・・。

「あっ!勘違いしないでほしいのですが、私は何の気もない人とはデートなんてしませんから。カズマだから良いんですよ?」

 その言葉に心臓が止まりそうになった。

 頑張って!持ちこたえて俺の心臓!

「この前も言いましたよね?もう一度言いましょうか?」

 そこまで言ったところでめぐみんは足の痛みを堪えながら、またベンチから立ち上がった。

 そしてこの前の笑顔で、この前の言葉を言い放つ。

「いつもなんだかんだ文句を言いながらもやっぱり皆を助けてくれる、本当は優しいのに素直じゃないあなたが好きです」

 爆裂魔法をくらったような衝撃が俺を襲い、一瞬頭が真っ白になる。

「ちゃんと覚えてます?」

 めぐみんがむっとした尋ねてくる。

 俺はパニック状態の頭をフル稼働させて、なんとか返す言葉を考える。

「おっ、おうさすがにそれは言わなくても覚えてるよ。覚えてるけど、よくお前一字一句間違わずに言えるな。」

「忘れるわけないじゃないですか。あの告白を考えるのにどれだけ頭を悩ませたと思ってるんですか」

 Oh・・・まさかの展開。

「あの告白って無理して言ったんじゃないのか?」

「無理してまでそんな事言いません」

「だってあの時泣いてたじゃないか!」

 そう、あれはめぐみんの告白の後、いい感じになってキスをしようとした時の話。

 めぐみんの目から涙がこぼれ落ちたのだ。

「あれは!その・・・ちゃんと自分の気持ちを伝えられたから嬉しくて・・・」

 嬉くて泣く?そんなものなのか?

「それよりカズマはどうなんですか。前に好きって言ってくれましたが、好きなところを聞いたら爆裂魔法しか出てこなかったじゃないですか!本当は私なんかよりずっとアイリスの事がすきなんじゃないですか?」

「何度も言うが、アイリスは妹としての好き、だ。恋愛感情じゃない」

「どうでしょうね」

 完全にお怒りの様子。

「あの時は恥ずかしくて言えなかったけどお前の仲間思いなところとか好きだぜ。」

「他には?」

「ルックスがいい」

「他には?」

「え〜っと・・・」

「ほらぁ〜!全然ないじゃないですか。」

 怒っためぐみんに頬を引っつねられられる。

「悪い悪い!冗談だよ!好きなトコロいっぱいアルヨ」

「なんで片言なんですか!?」

 そうツッコんだ後、めぐみんはつねるのをやめた。

 と思ったら急に真剣な面持ちになる。

「ならもし私が付き合ってくださいって言ったらどうします?」

「もちろん・・・」

 OKいかけたところでやめる。

 ここで簡単にOKしていいものなのだろうか。

 俺は死んだとはいえ異世界の人間だ。

 仮に俺とめぐみんがくっついたとしてもずっと一緒にいられるとは限らない。

 例えば万が一、俺が魔王を倒して人間界に戻されるようなことがあったらどうなる?

 もしアクアの蘇生魔法を使っても生き返れなくなったらどうなる?

 俺がいなくなったら、めぐみんはどうなる?

 おそらく相当なショックを受けるだろう。

 そんな思いしてほしくない。

「俺もめぐみんの事が好きだ。その気持ちに嘘偽りはない。でも・・・」

「でも?」

 めぐみんが不安そうに続きを促してくる。

「付き合うことはできない・・・」

 その言葉を聞いてめぐみんの表情が曇る。

「それは・・・何故ですか?」

 もう黙ってるのはやめだ。ちゃんとした理由を話さなければいけない。

「俺さ、信じられないかもしれないけど異世界から来たんだ。地球って場所の日本って国。」

 とうとう言ってしまった。

 俺の最大の秘密を。

 まぁ言ったところで信じてもらえないだろうが・・・。

「知ってますよそんな事」

「そうだよな・・・えっ!?知ってたの?」

 思いがけない返答にびっくりした。

 知ってる?なんで?

「知ってたというと少し語弊がありますね。考えてもみて下さいよ。テレポート魔法がある世界なんですよ?異世界から人が1人くらい飛ばされてきたとしても、何もおかしくないでしょう」

 あぁ言われてみればそうだな。

 それなら。

「なら分かるだろ?また元の世界に戻されて急に消えていなくなるかもしれないんだぜ?」

「そうですね。分かってます」

 悲しげな表情でめぐみんが答えた。

「もし俺が消えたらどう思う。」

「そんなの寂しいに・・・決まってるじゃないですか・・・」

 次第に声が弱くなっていき、めぐみん頬を伝って1滴、また1滴と涙がこぼれる。

「だったら・・・」

「だったら何だって言うんですか!カズマはもう大事な仲間なんですよ!もしカズマに告白を断られたとしても、恋人になれなくても、いなくなったら寂しいという気持ちに変わりはありません!」

 言い終えてから地面にうずくまり泣き出すめぐみん

 あぁそうか、愚問だった。

 コイツが俺の事を大切な仲間と思ってくれているのは前々から知っていた。

 たとえ恋人とかじゃなくても、大切な仲間が急にいなくなったら寂しいよな。

 突然の告白で頭が真っ白になっていて、そんな簡単な事すら忘れていた。

「めぐみんごめん・・・」

 経験がないからこういう時なんと声をかければいいのか分からない。

 告白された今になってようやく分かった事がある。

 めぐみんが外に出る時は常にトンガリ帽やマントや杖を装備している魔女スタイルである。

 なのに今日は俺のために着慣れない浴衣を着たり、履きなれない下駄を履いたりして、精一杯のお洒落をしてくれている。

 それだけ俺の事を思ってくれているのだ。

 あぁありがたいな。

 そう思った時、うずくまって泣いていためぐみんがゆっくり立ち上がって、浴衣の袖で涙を拭う。

「お見苦しいところをお見せしてすみません。カズマが・・・カズマがいなくなったらって考えたらどうしても涙が・・・。でもいなくなるなんて言いだしたら私だってそうです。もし!もしですよ?まぁ絶対ありえないですけど、爆裂魔法が効かないような強い敵と戦ったらすぐに死んでしまいます。」

 まだめぐみんの目からはポロポロ涙がこぼれている。

「そうだな。そうだよな。」

 なら断る理由がなくなった。

「そうですよ」

「めぐみんあのさ」

「はい、何でしょう」

 首を傾げるめぐみん。

「めぐみん。俺と付き合ってくれ」

 やっぱりこういうのは男の俺が言うべきだな。うん。

「はい」

 これ以上ない笑顔でめぐみんが答えた。



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