第5話 琉球2

「着いたわよ~♪」


ライたちを乗せた船は、琉球王国に着いた。


「姫! 走り回ってはいけません!」


ジイが姫をたしなめる。


「ははは・・・。」


ライは微笑ましい光景に呆れる。


「でん、お城に案内してあげるわ。」


首里姫様は琉球王国のお姫様であった。


「うわぁ! 大きなお城!」


ライは大きくて立派なお城を見て驚く。


「さぁ、入るわよ。」


姫は城の入り口から入って行く。


「首里姫様、おかえりなさいませ!」


城の女中や兵士が姫に頭を下げて挨拶をしていく。


「ただいま~♪」


姫は笑顔で堂々としたものである。


「本当にお姫様だったんだ。」


ライは少し疑っていた。


「なんですって!?」


姫がライを睨む。


「ごめんなさい。」


ライは素直に謝る。


「お静かに! 国王様と王妃様の間に着きましたぞ!」


姫はジイの言葉に、いきなり走り出す。


「お父様~♪ お母さま~♪」


姫は笑顔で国王と王妃の前まで行く。


「おお、首里姫。よく戻って来た~♪」


琉球王国の国王は、姫の父親である。


「お父様~♪」


姫も父親に会えてうれしそうである。


「それでカジノでは勝てたんですか?」


王妃は女性特有の現実的である。


「負けました・・・。」


姫は目に涙を浮かべている。


「しかし! 強い家来を見つけてきました~♪」


姫は得意げに、ピ。ライに向けて指を指す。


「ええ!? 僕!?」


いきなり振られてライは戸惑った。


「お主、強いのか?」


国王はヒョロっとしているライを見て疑いの目で見る。


「この者は、山よりも大きなダイオウイカを真っ二つにしました!」


ジイが経緯を説明する。


「真っ二つにはしてませんよ、焼きイカにしただけですよ。」


ライは謙遜しながら言う。


「ほお! それは頼もしい! 名前は何と言う?」


国王が尋ねると、


「ライ、雷と書いて、ライと言います。」


ライが名前を名乗るが、


「ブブ! 名前は、でん、です!」


姫の訂正が入る。


「私は命の恩人よ!」


姫はライに圧力をかける。


「でんでいいです・・・。」


ライは姫には勝てなかった。



「実は琉球王国では、妖怪が出るようになって国民が怖がって困っている。」


国王は琉球の現状を説明する。


「妖怪ですか?」


ライは聞き返す。


「お主、妖怪は見えるのか?」


国王はライに質問すると、


「でんは海で溺れていて、助けるために体内にガジュマルの木を植え命が助かり、樹木の精霊の力を得て、神や精霊、妖怪の姿が見えるようになってます~♪」


姫がライに変わって、妖怪は見えると言っている。


「さすがは首里姫~♪」

「もっと褒めて~♪」


バカ親子であった。


「助かって、良かったわね。」


琉球王国は実質、王妃が支えていた。


「は、はい。」


ライは王家3人とジイの4人に勝てなかった。


「妖怪退治には、私たちも行きます。」


男1人と女1人が現れた。


「お兄様!?」


男は首里姫の兄、琉球王国の王子、尚 巴志だった。琉球空手・琉球古武術の使い手。


「おお、王子も行ってくれるか。」


国王は息子を頼もしく思う。


「よそ者だけには任せておけません。」


王子はプライドの問題みたいだ。


「私もお役に立ちたいと思います。」


女は大陸の明の者で、李 美麗(リ メイリー)。霊力が高く、妖怪が見えるらしい。貿易で琉球を訪れている客人であった。


「明の客人まで、ありがとうございます。」


妖怪退治にはライ・尚 巴志・李 美麗の3人で行くことになった。


「でん! 妖怪なんて、ぶった斬っちゃいなさい!」


首里姫はハッスルしている。


「命令ですか?」


ライは頭を指でかきながら聞く。


「必ず生きて帰って来てね、命令よ。」


姫は珍しく真剣な表情を見せる。


「承知。」


ライは少し笑って命令に返事し約束する。


つづく。

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