淵の王を読んだので

 ケイツーくんが雑な限界オタク語りエミュ芸で大澤をポスト舞城とか言ってて、たぶんケイツーくん自身は舞城を読んだことすらないぐらいだと思うんだけど、とはいえネタだろうがなんだろうがツイッタッターで発言した以上は文脈をチギッてツイがひとり歩きすることも当然あるわけで、そんなケイツーくんの雑なツイのせいで無駄に軋轢が生まれた結果として謎にビガンゴくんのレビューが晒されて貶されるなどの出来事があり、世界は今日も虚無だ。みんなもっと優しくなろう。幸せになれ。

 まあそんな感じで、舞城フォロワーってことで名を挙げられることが多いのですが実は一番影響を受けているのは小林めぐみさんの「食卓にビールを」なのでそっちも読んで「食卓にビールを」でググッたらたぶん小林めぐみさんのブログがヒットするしそこに一本公開されてるしkindle版も出ているのでkindleユーザーの人はそっちも買って読んで「なるほどこんな感じなんだな~」と雰囲気は掴めると思います。脱力系、不親切系、説明一切ナシ系のほけほけした文体かつ唐突な展開とそれにまったく動じない語り部という雛形は丸パク(ゲフン)オマージュです。

 あ、でなんの話をしたかったかっていうと、まあしたい話っていうのは基本的には米を研ぐのがめんどくさいのでめっきり米を炊かなくなりまだ10キロ残っているこの米はいつからここにあるのだろう白米って賞味期限とかないのかな……? みたいな話なんだけど、そういうのを抜きにしてなんの話をしたかったかっていうと、そんなに舞城舞城言われるとわたしも舞城のことが気になるので、なにしろわたしの舞城認識はディスコ探偵水曜日を壁に投げつけたあたりで終わっているので、それじゃあひとつ最新作を読んでやろうじゃないの、ほーん読んでやろうじゃありませんのみたいな感じで買ったんですよ淵の王。それで読んだんですよ。そしたらね、あとは淵の王サイコー! みたいな話しかしないしもう君が読んでる前提で勝手に話すから読んでないならいますぐブラウザの検索欄に「Amazon 淵の王」っていれて淵の王をポチッて淵の王が届いて淵の王を読んでから続きを読んで。

 じゃあ淵の王サイコー! みたいな話をするから頭蓋骨に穴開けてよく聞いてほしいんだけど淵の王サイコーだった。すごい。すごい。愛の話だった。すごい。

 いろんなところで書評は書かれていると思うんだけど、まず形式が独特なんだけど二人称小説(?)なのね、たぶん。こういうのが二人称小説なのだと思うんだけど、二人称小説というよりは三人称てきな一人称叙述というか、まあそんな感じで、でもう読んでる前提で話すから読んでない人はまったく意味分からないと思うんだけど、たぶん真のエンディングは一章のさおりちゃんなのだと思うの。おそらくはどれが前とか後ろとかそういうシーケンシャルな時系列には意味がなくて全てが並列して存在していて、たとえば悟堂の守護霊だったさおりんは決して一章のさおりんの前世とか死後とかそういう存在ではなく、どちらも並列的に存在しているのだと思うけれど、そうは言ってもたぶんこの物語は順序として二章→三章→一章ってなっていて、果歩は例のアレに負けちゃったけど、そこで覚悟を決めた悟堂は例のアレと戦うんだけど適切な時にちゃんと適切には行動できなくて少し手遅れで虹色は救えなかったんだけど、さおりんはちゃんと「大事なところで役割を果たしてみせた」のだっていう完全勝利なのよ(熱弁)。で、二章だとまず果歩が消えたから悟堂も消えていくという順序なんだけど、一章では果歩はさおりんのうさぎちゃん大草原のことを「また輝くだろう」と思いながら消えていくので順番が違うの。さおりんが例のアレに食われる描写はないの。だからきっとこれさおりんは生存ENDなの(熱弁)。誰を助けるでも誰に助けられるでもなくずっとひとりでモリモリしていた果歩はたったひとりで例のアレに立ち向かって食われちゃったけど、その戦いをそばで見ていた悟堂がかならずそいつを倒すと決意をして、悟堂はそいつと戦って勝ったけどでも助けたい人は助けられなくて、その悟堂の戦いをそばで見ていたさおりんは光の道を歩む決意をして、そして助けたい人を見事助けてみせたのだ。三世代(並列なので語弊があるけれども)に渡る戦いにひとつの終止符を打ったのがさおりんで、だからさおりんだけは守護霊状態でも食われてないし、きっと一章ラストでもアレは生存ENDなの(熱弁)。というわけで生存ENDなのって話を熱弁しただけみたいなんだけど淵の王ほんとうに面白かったから全員に読んでほしいし正直こんなのと比べられても困る。

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