詩と死と生の反転――ラストの一行

先の見えない人生を行動を伴わせて描出させるような巧みな文体。
一個一個の文を緻密かつシームレスに繋いでいく文章力。
伝奇と幻想の入り交じったホラー風味の小説という感じです。
懐かしい。なのに新しい。非常に楽しく読みました。
京極夏彦先生を連想させる文体の系譜だと感じました。
「――男は家路を急いでいた」
「――長い長い階段だった。見上げても階段の先はまるで見えず、どこまでも蜿蜒と続いている」
こんなに筆力と文学性の高い方が集まるカクヨムという場所に感謝したい――そんな気にさせてくれる小説です。
各話のラスト一行に籠められた企ても心地良いです。