第24話 レントゲン
金曜日。仕事も終わり、向かう先は整形外科だった。
クリニックに入り、受付で診察券を渡す。
レントゲン室の前で待つように指示されたので、近くの椅子に座って待つことにした。
同じように順番を待つ人が数人いて、今日も時間がかかりそうだと思った。
二十分ほど待って、順番が来た。左足のレントゲンを違う角度から二枚撮った。今度は、待合室で待つように言われて、わたしはそこでテレビを見て呼ばれるのを待った。
診察室に入ると、レントゲンが貼ってある。医師がボールペンで示しながら説明してくれて、今日で治療は終わることになった。
「また、何かあったら来てください」
「はい。ありがとうございました」
今日で整形外科のレーザー治療も最後なのだ。ヒビで痛みが強かったのはおよそ一ヶ月前だったはずだ。こう考えると長いのに、翔さんと出会ってからまだ一ヶ月と少しだと思ってしまうと短く感じる。時間の感じかたってこんなに違うのだと、はじめて知った。
受付に呼ばれて、会計をすませる。
今日はどこにも寄らずに、帰宅した。
新着メールも入っていなかった。わたしは翔さんに整形外科のことをメールしようと思った。
「こんばんは、りんです。
今日で左足に入ったヒビの治療が終わりました。
翔さんがお見舞いに来てくれたことがありましたよね。とても、嬉しかったです。」
入浴をすませてから、夕飯作りをはじめた。この前の焼きそばが一人前だけ残っていたので、それを頂いた。残念なことに、キャベツがなったので、一昨日の夜にゆでたブロッコリーにマヨネーズをつけて、野菜を補った。
着信音がして、メールを開いてみれば翔さんからだった。
「こんばんは、翔です。
ヒビが治ってよかったです。
お見舞いは、りんさんが美味しい飲み物をいれてくれたので、ぼくも楽しかったです。
今度は治った記念に、また会えますか?」
「ありがとうございます。
そういえば飲み物くらいしか、お出しできていませんでしたね。
次回からは、何か食べられるものを出せるようにしておきます。
わたしも、会いたいです。翔さんの、次のお休みはいつですか?」
「飲み物があれば十分です。
ぼくの方も何も持たずに行ってしまったので、今度からは何か持っていくことにします。
今週は休めるので近くの予定なら、明日、明後日が空いています」
「わたしも、同じ日程で空いています。
明日、会えますか?」
「大丈夫です。明日、会いましょう。
行きたいところは見つかりましたか?」
「この前、友人と池袋に行ったときに、ハンズがあったんです。
翔さんが良かったら、池袋に行きませんか?」
「ハンズは色々なグッズがあって、面白いところだと思います。
この前のふくろう像のところで、十一時に待ち合わせでもいいですか?」
「はい、よろしくお願いします」
明日が楽しみで、眠れるまで時間がかかりそうだと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます