1月4日  石の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、本日2017年1月4日は『石の日』である。

 先日と同じく。語呂合わせで制定された一日だ。そう言う由来ならば、意思の日でも医師の日でも構わないような気がしないでもないが、先人達がそう制定したのであるのだから、今日は石の日である。


 石と我々人類は古来より深く結びついてきた。まだ文明の発達していなかった頃、我々のご先祖様は硬く、そして容易に手に入る石を、ナイフとして、鈍器として、食器として、時には河原に投げては何回跳ねるのかと活用してきた。石器時代と名付けられた時代もある程である。ただの石と侮るなかれ。現代も墓石として、石像として、そして河原に投げては何回跳ねるかと重宝されている。


 石には、化学では証明できぬ不思議な力が宿ると言う。

 本日、石の日に、石で作られた物に触れながら願いをかけると、その願いを石が叶えてくれるそうだ。諸君。時間があれば、ぜひ試してみては如何だろうか。


 最後にもう一つ試して貰いたい事がある。

 路上に落ちている石を手に持って欲しい。

 それを手から落としてみてはくれぬだろうか。

 どうだ? 落ちただろう?


――ストーン、とな。




 今日は石の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る