第46話 妖精の承

起。


俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。


「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」


と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?


富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。


不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。


先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!? お人形さんの正体が、私の幸福を食べる貧乏神と知ってしまい、貧乏神のエリザベスに憑りつかれた私との、ステキな共同生活が始まり、高校にも合格することができたのだ。闇エリは、女子更衣室で俺に裸を見られたことを怒っていた!?


なんにせよ、これで光と闇が揃うことになったのだった。しかし2人は出会いは最悪だし、仲は悪そうである。なのにクラスでは2人は付き合っていて、彼氏彼女だという噂で盛り上がっていた。光と闇・・・売れ筋に持っていけるストーリーが考えられるのだが、それでは今、書籍化やアニメ化されている作品と変わらないような? 教えて編集さん!


光と闇のカップル誕生!? 2人の間を取り持つのは、福の神と貧乏神!? なんちゅう展開になってしまったんだ・・・。ラブコメにはなるね! 光と闇が揃ってしまったことにより、純粋に不幸を福の神が食べ、幸福を貧乏神が食べるというのが小ネタになってしまった。新展開に向け、新キャラを大量生産していく!?


俺は、光の福の神使いに、エリちゃんは、闇の貧乏神使いに、それぞれモデルチェンジした。不幸と幸福のバカップルのため、個性が死んじゃったからだ。そして、第3の神も実装されようとしていた!? 候補に挙がったのは、七福神、冥王神、太陽神、月神、風神雷神・・・。果たして、誰が実験台になるのか!? 


どうやって、福の神と貧乏神が戦うのか、見ものである。神を食べる訳にはいかないしな・・・。幸福と貧乏で踏みつぶすか!? どれだけ強い幸福と不幸なんだ!? オリジナルはオリジナルだけど、こんなにオリジナルにする必要があるのだろうか!?


1番の幸福は2人でいること。1番の不幸は、2人でいられないこと。これが光と闇のカップルの出した結論だった。光の魔法とか、闇の魔術とか、普通にはならないみたいだ。なにか、おもしろい神は舞い降りて来ないだろうか!?


紙神が降臨された。トイレットペーパーの神、ティッシュ神、折り神・・・おもしろいようで、おもしろくない!? ということで、マジメに風神雷神から、神チャレンジを始めることにした。風神は風の神ではなく、風邪の神だった。おまけの雷神の、おもしろいボケが浮かばない!? 困った!?


雷神・・・来診・・・医者か、看護婦になってしまった。紙神の犠牲もあり、福ちゃんが、俺から風邪という不幸を取り除いてくれた。さあ、ここから福の神と貧乏神の恐怖の反撃が始まる!?


俺に対する不幸!? 風邪に、雷を福の神が食べ、風神雷神には貧乏神が憑りついて不幸まみれに、まさか自然属性よりも、福と貧乏属性の方が強かったとわ!?

闇エリの彼氏に手を出された復讐の貧乏が開演する!?


ついに拘束された風神雷神。牢屋の中で俺の神ハラに耐えつつ、健気に暮らしていた。新しく登場した神は1度きりの使い捨てになるのか? それとも折り神のように準レギュラーになり、マスコットキャラとして生き残るのか? 風神雷神は、今後に登場する神々に対する指針となる!?


罪を許された、風神と雷神。住まいは上空。あだ名は、風神が風ちゃんとウイルス。雷神が、雷ちゃんとナースに決まった。他に何を決めればいいのだろう? 憑りつき先も俺に決まり、神ハラし放題!? と喜んだら、エリに監視を頼まれた福ちゃんが、俺の不幸を頂かないので、俺は生死の狭間を彷徨うことになった!? 


神々の入浴しているお風呂場を覗こうとしたが、俺は不幸が重たくて身動きがとれない。せいぜい神湯を飲むことぐらいしかできないのだった。神湯とは、神の入浴したお湯のことをいう。ラノベの購買層が、20代の男性だから、これぐらいの内容でいいのだろう・・・。


堕神。堕天使というのは聞いたことがあるが、堕神は初めてである。俺のような不幸を集める体質なのに、神が3人も憑りついて楽しく? 暮らしているので、天界の神々の怒りを買ってしまった!?


天使ミカエル。神とイチャイチャしている俺は、天界の神々を嫉妬させてしまったらしい。なんと罪深い、俺。そんな俺たちの神ハラな生活を邪魔すべく、天使を使わしたというのだ。福ちゃんたちは身の潔白を証明するために、天使にも、俺に憑りつけというのだ。こうして俺と天使との、天ハラな日々が始まった。


俺に不幸が集まるのは、心が邪で欲望の塊だったのが原因と分かった。どれだけ手を伸ばしても、神に触れる俺の手を、天使ミカエルは、ことごとくかわしていく。なんと天使には、邪な俺の心をキレイに浄化するチカラがあるというのだ。もし俺が真面目な人間になってしまったら、この物語は終わってしまう!?


ついに天使ミカエルの裁きが始まった。闇エリのところの、貧乏神のエリザベスは、仲良しなので無罪が確定した。俺に憑りついている福ちゃん、雷ちゃん、風ちゃんは、堕神に認定されてしまった。神々の命令で堕神を抹殺しにやってきた、ミカエルと福ちゃんたちの戦いが始まろうとしていた!?


俺は、福ちゃんとの厳しい修行の甲斐もあり、天ハラを成功させる。邪念で不幸を呼び寄せる俺に触れられたことによって、清らかだった天使は穢れてしまい、堕天使ミカエルとして、ジョブチェンジしてしまった、こうして俺は、天使は天使でも、堕天使に憑りつかれてしまった!?


俺たちは、精霊と小人の変てこなパーティーに出会った。精霊は、妖精に憧れていて、精霊と呼ぶと精霊魔法で俺を襲ってきた!? 水、風、火、地の4大精霊と人間に地底のドワーフ王国を滅ぼされたという小人と知り合った。しかし、人間を下等生物と下に見てくるので、俺の不幸な扱いは続く!?


承。


「ミカ子!?」


どこからともなく、頭に輪っか、背中に羽がある生き物が現れた。


「天使さまだ!」

「カッコイイ!」


精霊たちは、妖精に憧れ、人間を下等生物と見下し、キラキラしたお目めで、天使を崇めるのであった。


「ウリ子。遅い!」

「ごめんごめん・・・って、堕天してるじゃない!?」

「堕天も悪くないよ。天使みたいに、マジメに生活してると、肩が凝るから、こっちの方が好きかも。」


天使ウリエルが現れた。天使ミカエル、完全に堕落してしまいました。


「うわぁ!? ダメだ、これ・・・でもミカ子は、どうして堕天使になっちゃったんだろう?」

「コイツが原因です。」

「ギク!?」

「人間?」

「コイツが汚れた不条理な手で、穢れを知らないミカエルに天ハラをしたんです。」

「修行させたのは福ちゃんだから、共同犯だぞ!?」

「そうだっけ? エヘ。」


そう、俺は不幸をとことん集めることにより、天使ミカエルの浄化バリアを突破して、ペチャっと触ることができたのだ。


「天ハラ・・・まさか・・・生真面目なミカエルの浄化バリアを突破して、触って乙女を汚すとは、おまえどれだけ穢れているんだ?」

「ほっとけ!?」


俺の不幸を集める体質は、俺の純粋な欲望が、少し強いだけである。


「あ、あの天使さま、火の精霊のサラちゃんだぞ~。」

「私も神の火を使うことができるんだ。サラちゃん、よろしくね。」

「はい! 天使さま! アハ。」


サラちゃんは、天使ウリエルに頭をナデナデされて照れて喜んだ。


「こりゃあ、ガブ子の所に連れて行かないと無理だな。」

「ガブ子? あいつ面倒臭いよ・・・。」

「行くよ、ミカ子。」

「え・・・。」


ウリエルは、ミカエルを掴み羽で上空に浮く。


「みなさん、さようなら。」

「バ~イ。」

「さようなら。」


ウリエルとミカエルは、天界に帰って行った。


転。


「あれ? 肩が軽くなった!?」

「それはそうだろう。堕天使が一人、憑りつくのを辞めたんだから。」


俺には、3神1堕天使が憑りついていた。1堕天使が憑り除かれると、俺の体は軽くなるのだ。


「ということは、あそこの2人もどこかにやれば、俺はもっと身軽になれるということだな?」

「まぁ、そうなるな。」

「よし! やってやる!」


俺の悪知恵がフル回転し、キラーンと目が光った。


「風ちゃん、風の妖精さん、ちょっと、こっちに。」

「なんだ?」

「風の妖精ですよ~。」


風神と風の精霊がやってきた。


「あっちで、風祭りがやってらしいよ。」

「風祭り!?」

「お祭りは、楽しそうだから好きよ~。」

「風祭り? 私、風神だけど、聞いたことないな?」

「風ちゃん、一緒に行きましょう。」

「シルちゃんが言うなら、まあ、いいか。」

「いってらっしゃい。」


こうして、風神と風の精霊は、ありもしない風祭りに出かけて行った。


「これで1人片付いた!」


俺の体は4人から2人を追い出し、かなり軽くなった。


「雷ちゃん、ノーちゃん、ドワちゃん、ちょっと、こっちに。」

「なに?」

「なんなのだ?」

「人間がドワちゃんを呼ぶな!」

「あっちの地底でサンダーバードが埋まってるんだって。」

「雷の妖精さんなのだ。」

「地底にあると探すのが大変だな。」

「ドワちゃんたちが、地面を掘ってあげるドワ。」

「ありがとう。それは助かります。」

「いってらっしゃい。」


雷神、地の精霊、地底の小人は、いもしない雷の妖精を探しに行った。


「ワッハハハ! 俺は、なんて賢いんだ! これで雷神も憑り除いたぞ!」


自己中心的で詐欺を行う人間には、不幸が集まりやすい。


結。


「これで邪魔者はいなくなった。」


あと俺に憑りついているのは、福の神だけ。


「残ったのは、福ちゃんだけだ。」


いるのは、水の妖精。まだ火の精霊は、火の天使に頭をナデナデされて、ニタっと照れている。


「これで俺と福ちゃんの間を邪魔する者はいない! 福ちゃん!」

「来るな! 不幸の塊!」


俺は、福ちゃんに襲い掛かろうとするが、


「やめなさい。ウンちゃんが相手になりますよ。」


俺の前に、水の精霊が立ちはだかる。


「フフフ、もう学んだのだよ。妖精さんの扱い方は!」

「はい~! 妖精さんです~! キャア!」


俺は、精霊さんが妖精と呼ばれると、有頂天になってしまうことを知っている。


「フっ、ちょろいな、精霊なんて。」


聞こえないだろうと油断して、俺は、精霊と言ってしまった。


「ムキ!」


妖精さんは、地獄耳だった。精霊と言われて、激怒し覚醒する。


「水の妖精ウンディーネが命じる! 水よ! 抜けろ!」


ウンちゃんは、水で魔法陣を描く。


「うわぁ!? 体がしおれていく!? ・・・バタ。」


俺の体から、水分が抜けていった。俺はシワシワになり、倒れ込んだ。


「ありがとう。妖精さん。」

「いえいえ。妖精として、当然のことをしたまでです。」


福の神は水の精霊と仲良くなった。


「た、助けて・・・。」

「本当に貴様は、不幸が好きなヤツだな。」


俺、以上に、不幸が似合う男はいない。


つづく。

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