第34話 風神雷神の承
起。
俺の名前は、光リエ(ヒカル・リエ)。女の名前だが、れっきとした男である。
「女の子が欲しかった!? 男の子が生まれたら、男の子の名前をつけやがれ! 小さい頃から、「リエちゃん? え!? 女の子と思った!」とか、好きな女の子に告白をしては、「私、女の子の名前の人とは付き合えません!」とか、そんなことばかりだ!? 俺の人生で楽しいことなんて、やって来ないんだ!」
と、思いつめ、学校の屋上から飛び降り自殺を図ったのだが、不幸な俺は死ぬことすら許されなかった。そんな俺の前に、レンタル福の神という、偉そうなでキチガイな女が現れ、不幸を幸福に変えるという。俺は、福の神に憑りつかれてしまった。福の神のおかげで、俺にも久野文香という彼女もできた。そして、俺の不幸との戦いが始まった。「貴様の不幸、私が頂こう。」あ~ん、パク、モグモグ、ゴックーン「おいしい!」「ほんとに食うな!」俺の生死の不幸はおいしいらしい!?
富士山が大爆発を起こすという、大不幸から人々を守ることができた。俺と福の神だけでの作品としての形もでき、後は舞台を変えても永遠に続けられる所まできてしまった。ということで、新キャラクターを登場させ、作品の世界を拡げる所まで来た。新キャラ以外は、過去作から再登場という形になる。第1号が地味な佐藤さん。第2号がスケバン・気づかい・猫の3人組。
不幸を呼び寄せる俺は、ついに不幸な神まで呼び寄せた。闇エリ子に憑りついていた貧乏神が俺に乗り移ったが、俺の不幸は貧乏神の貧乏という不幸すら吸収しようとする恐ろしさだった。やっぱり不幸な俺に耐えれるのは、福の神しかいないのだった。
先に先に進めようとすると、進むが頓挫するので、ここで闇エリ子こと、闇エリと貧乏神サイドを書いてみよう。これがアニメとは違う、小説の良い所だ。なんと闇エリは、親の貧乏神を誕生日プレゼントのお人形さんのエリザベスとして、なすりつけられたのだった!? お人形さんの正体が、私の幸福を食べる貧乏神と知ってしまい、貧乏神のエリザベスに憑りつかれた私との、ステキな共同生活が始まり、高校にも合格することができたのだ。闇エリは、女子更衣室で俺に裸を見られたことを怒っていた!?
なんにせよ、これで光と闇が揃うことになったのだった。しかし2人は出会いは最悪だし、仲は悪そうである。なのにクラスでは2人は付き合っていて、彼氏彼女だという噂で盛り上がっていた。光と闇・・・売れ筋に持っていけるストーリーが考えられるのだが、それでは今、書籍化やアニメ化されている作品と変わらないような? 教えて編集さん!
光と闇のカップル誕生!? 2人の間を取り持つのは、福の神と貧乏神!? なんちゅう展開になってしまったんだ・・・。ラブコメにはなるね! 光と闇が揃ってしまったことにより、純粋に不幸を福の神が食べ、幸福を貧乏神が食べるというのが小ネタになってしまった。新展開に向け、新キャラを大量生産していく!?
俺は、光の福の神使いに、エリちゃんは、闇の貧乏神使いに、それぞれモデルチェンジした。不幸と幸福のバカップルのため、個性が死んじゃったからだ。そして、第3の神も実装されようとしていた!? 候補に挙がったのは、七福神、冥王神、太陽神、月神、風神雷神・・・。果たして、誰が実験台になるのか!?
どうやって、福の神と貧乏神が戦うのか、見ものである。神を食べる訳にはいかないしな・・・。幸福と貧乏で踏みつぶすか!? どれだけ強い幸福と不幸なんだ!? オリジナルはオリジナルだけど、こんなにオリジナルにする必要があるのだろうか!?
1番の幸福は2人でいること。1番の不幸は、2人でいられないこと。これが光と闇のカップルの出した結論だった。光の魔法とか、闇の魔術とか、普通にはならないみたいだ。なにか、おもしろい神は舞い降りて来ないだろうか!?
紙神が降臨された。トイレットペーパーの神、ティッシュ神、折り神・・・おもしろいようで、おもしろくない!? ということで、マジメに風神雷神から、神チャレンジを始めることにした。風神は風の神ではなく、風邪の神だった。おまけの雷神の、おもしろいボケが浮かばない!? 困った!?
承。
「寒い・・・。」
俺は風邪の神の風神に憑りつかれ、深い風邪の症状の中にいた。寒気で体温は低下し、全身が震えていた。不幸を呼び集める能力は、風邪も呼び寄せてしまったのだ。
「あ! 帰ってきた! どこに行ってたのよ?」
福の神と貧乏神と3紙神が帰って来た。
「どうしたの? エリちゃん?」
「あんたたちが遊んでいる間に、光くんが風邪の神さんに憑りつかれたのよ!」
「なんだって!?」
全員が俺を見つめるが、風邪でフラフラする俺は意識もフラフラしていた。
「貴様!? 大丈夫か!? ほれ、鼻をかめ。」
俺は、ティッシュ神で鼻水を拭き、鼻をジュジュジュジュとかんだ。
「紙神が役になっているわ!?」
意外な活用法に、エリは感心した。
転。
「遊んでんじゃ、ないわよ!」
ここで初めて雷神が前に出てきた。
「くらえ! 関節痛サンダー!」
稲妻攻撃が来ると、全員が覚悟をしたが、雷神は俺の所に来て、
「あなた風邪ですね。お大事に。ニコ。」
笑顔で来診して去って行った・・・。
「マジか・・・私の福の神が不幸を食べるという設定はおもしろいと思ったが、風神が風邪の神さんで、雷神が来診して帰って行くとか・・・恥ずかしい・・・。」
「私は、福ちゃんの逆の設定でよかった。」
福の神と貧乏神は、風神雷神に同情するような目で見つめた。
「勝手に同情するな! 風邪と来診のゴールデンコンビだぞ!」
「それなら、こっちは幸福と不幸のセクシーコンビだ!」
いつから、そうなったのかは知らない。
結。
「そろそろ尺もOKが出た頃だろうし、決着をつけてやる! いくぞ! エリザベス!」
「わかったわ! エリちゃん、光くんから、風神雷神を追い祓ってあげる。」
「エリザベス、福ちゃん、頼んだわよ!」
「まかせとけ!」
これが登場回数の差か!? 福ちゃんとエリザベスは堂々としたものだった。
「ああ、こんなに鼻水を垂らして、ティッシュの神さまが、ネチョネチョでかわいそう。」
「か、神ハラしたかった・・・バタ・・・。」
ティッシュ神は、やっぱり紙だった。
「本当に、貴様は不幸な奴だ。ペロ。」
俺を見て、福ちゃんは下をペロッとだし、おいしそうなモノを見ているような目つきで見てくる。
「貴様の不幸、私が頂くよ!」
福ちゃんは、俺に手を伸ばし、風邪という不幸をつかみ取り、顔の上にあげ、口をアーンと開け、パクと口の中に入れ、モグモグと口を動かし、細かくなった不幸をゴックンと呑み込んで、ブワーと一息ついた。
「おいしかった!」
福の神には、不幸は絶品の料理なのだ。
つづく。
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