第28話 土佐の変遷

 「龍馬は、妙に線の細い所があってのう」

「そうやのう、幸さんの血を引いたかにゃあ」

宮地のおんちゃんと、長兵衛が一杯やりもって話している。


 「男勝りの乙女と大違いじゃわよ」

「ほんまやのう。わしもそう思うにゃあ」


「こないだも、種崎の浜に連れていったら、えらい、ひせくってのう」

「ふんふん」


「甘やかしたらいかんけんど、どうも躾がうまいこといかんがよ」

「おまんもほんまに忙しいのう」


ぐい飲みに冷酒を注ぎあって、話が進む。


「まあ、龍馬は、わしの最後の仕事ぜよ」

「そうじゃそうじゃ。頑張りよ」


 お城の南側の魚市場の酒場で、二人は遅くまで飲んだ。


土佐の夏は暑い!

猛烈な日差しが土佐の空に居座る。


 土佐の城の中も、暑い。

気温ばかりでは無く、幕末の熱い変化が土佐のお城を囲みつつあった。


 土佐藩は、沈黙を自ら破り、大きく舵を切って、藩政改革に乗り出した。

変化の時代に、ようやく激しい加速度がついて来た。


 日本が大きく、激しく変わる時代の始まりである。



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