奇想天外にして普遍的

女であることを隠し王となった少女が、女装した美少年を王妃に迎える、魅惑的な設定です。
男装の麗人のお話は多くても、女装の姫君というのはちょっとめずらしいです。
『とりかへばや物語』でも女装の男君は女御にはなりませんでしたしたしね(笑)

しかし、読み始めると、とても重く、しかし普遍的な問題に通じるお話でした。
王妃となる少年はアルビノ、つまり、先天的な疾患により、並外れて色が白かったのです。
彼の母親も周りも忌み嫌ったり、或いは珍獣のように見たり。
彼は深く傷つき、ときに傷ついていることも忘れている程の、傷を抱えています。

「少年が王妃となる」という奇想天外な設定と、「ありのままの自分を受け入れる」という、普遍的な成長物語が交錯するところに、この物語の面白さを感じます。

現代の障害者問題や差別問題の本質でありながら、異世界ファンタジーとしての美しさや悲しさを損なわない筆致です。

重いテーマでありながら、さくさくと読ませてくれる文体。
特に、「ナジュム」という人物の言動は、辛い場面も、次へと読み進めさせてくれる力となりました。
魅力的な人物がたくさん登場し、すでに掲載されている外伝を読むのが楽しみです。

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