夜に生まれた少年は、昼に生まれた少女と出会った――

最高の物語でした。

夜生まれの人間は夜にしか生きられず、昼の世界を渇望する。
外の世界を見てみたいという欲求は、割とよくあるものだと思います。身近なところであれば田舎からの上京とか、映画でも閉鎖社会から抜け出す話がありますよね。

しかしそれを昼と夜で造り上げたという発想と技術が、オリジナリティにあふれていて素晴らしい。
昼の世界に憧れるという少年の思いが、ものすごく共感できると同時に斬新なSF世界のおもしろさを味わうことができました。

でもこちらの作品、おもしろさは設定だけにとどまりません。

その世界に生きる登場人物たちの葛藤こそが、最大の魅力です。
負の集大成である夜の世界にいる自分たちに、生きる意味はあるのか。
悩みながらも魔物と戦い抜いて、全力で生き抜きます。

なぜ全力なのか。
諦めの中に、憧れが残っているからです。

少年はその憧れを、少女との出会いによってどのように形にしていくのか。SF世界、ミリタリーバトル、青春物語……多彩な面から読み応えのある作品だったと、僕は思いました。

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