第1話プロトバスター

アメリカ本土のルイジアナにあるバスター研究所は延面積130,500エーカーの広大な基地の中にあった。地上5階建ての研究所に入ると警戒体制でアメリカの部隊が警護して円形のエレベーターに1人の日本人の男を連れ込んだ。男は白衣こそ来ているが研究員には見えない。見た目身体付きのいい顎髭を生したいい男である。一羽 透(いちばとおる)総合統括所長。・・この研究所で1番上の位である彼はエレベーター内部で待っていた様に佇む男に会釈してカードキーをエレベーターのボタンの下にあるBOXに差した。会釈した男は黒いスーツで白髪な現アメリカ大統領・ピート・G・アンデスであった。指紋認証を終えるとBOXの蓋が開く。

中にはB1からB9と打たれたボタンがある。

一羽はピートに小声で

「最初はB7で宜しいでしょうか?」

と聞く。ピートはフッと笑みを浮かべ

「ミスターイチバB9でもB7でも君が来る理由によってだろう・・私に聞くのは?」

手を開いてわからないよというジェスチャーをする。一羽はB7を押して扉を閉めた。

ピート大統領と一羽を載せたエレベーターは

ゆっくり下がっていく。


地下7階に着くと一羽は駆け込む様に暗闇の部屋に入っていく。

「あい、私の話を聞いてくれ」

「あい、アルファあい❗」

膝まずいて嘆願する一羽に寄り添う様に近寄る女が1人

「統括所長・・飲み物はアールグレイで宜しいでしょうか?」

薄い明かりが着いた。一羽の前に床から

円型のテーブルとイスが4つ競り上がってくる。

「さぁ統括。こちらへ。大統領もこちらへ。」

そのメイド服を来ている女性は二人をイスへ誘導すると、奥に消えていく。

ブイイィィーンというモーター音が鳴り

二人の目の前にモニターが天井から降りてくる。

「あい。アルファ❗起きたのか」

一羽はそのモニターに叫んだ。

モニターには小さいベットに寝ている赤ちゃんが映ってる。赤ん坊は丸まった手で顔を吹いて目を開けた。

「一羽所長じゃないか・・久しぶりだね」

その声は部屋に響いた。赤ん坊が喋った様でもなく録音した声が再生されたかの様に。

「先程日本国の首相とも話した。

そしてこちらのアメリカ大統領とも話した。今計画途中のバスターを使って中国のロボット開発都市を攻撃しようとしている話をな。」

「それは数日前私も相談された。」

「この状態で使っていいのか。あい」

「月の情報が彼方に渡った今、急いだ方が出し抜かれないから今しかないであろうなと言ったんだ。もうイオタバスターまで目覚めた。足りない事はないだろう。」

「0No.の君達を使うなんて事したくないんだよ。α君のコピーはもはや使えるのか」

「α2アンが司令塔という訳か」

「もうアンはB9階で他のバスターと打合せを行っているはずだ」大統領のその言葉と共に一羽はテーブルを叩いて立ち上がった。

「あいα0プロトバスターである君が下した結論であるなら致し方ない。δから先の研究資料を貰って行く。」

先程のメイド服の女性がお盆にお茶と書類の束が入った筒を持ってくる。

「データはこちらです」ポケットからはデータカードが入ったケースが一羽に渡される。

一羽「これはアメリカの検査等は?」

ピート大統領「我々はαのする事を疑らない。」

一羽「本日、日本に持って帰るが」

ピート「速いお帰りだ。今夜ウェルカムパーティーしようと思っていたのに・・」

一羽「B9も見ておかないとな・・」

一羽はお茶には触れずにエレベーターへ進んだ。モニターの赤ちゃんは眠そうにしていた。

「ではピート大統領」

エレベーターの扉を開いた一羽はビートを呼びエレベーターはまた下がっていった。

それと同時にモニターは上がっていった。


B9階に着いたと同時に扉が開いて二人の小学生位の女の子が飛び込んで来る。

一羽「アン、アリス。驚くじゃないか」

「イチバが久しぶりに来たから・・ダメなの❗」

金髪の少女が膝辺りに抱きつきながら泣き真似をした。

「アリス、さぁ忙しいから離してくれ」


降りた通路の先に扉がもう1枚書いてある部屋名が「プロトバスター0ナンバー」

その扉が開いて若いアメリカ人の男性が出てくる大男である。胸が大きく開いたシャツを着て胸毛が露にボリボリと掻いている。

「これは、Γ(ガンマ)ジョニー久しぶりだ」

一羽はニコニコと笑顔でその男に近寄る。

部屋に入ると半円のカプセルが並んでいる中、4、5人の男達が何やら地図を囲んで話し合ってる。そこへジョニーと呼ばれた大男が、一羽達を連れて近寄る。

「久しぶりに統括所長だ。みんな」

「おお、β(ベータ)カンザス・・

おっ君は・・」

細い身体の髭面の男の肩を右手でポンポンすると、その後ろの日本人に目をやった一羽であった。25~6歳に見える若い日本人は一羽に頭を下げていた。

「片平順・・今はδ(デルタ)順だったな・・

目覚めたのか・・具合はいいのか?」

一羽の後ろから先程の女の子が来る。

「δ(デルタ)には今のところ不具合は無いわ。記憶等脳神経も異常無いし・・」

「あん、もう1人の日本人は?」

「彼はまだまだ目覚めないわ・・」

その少女の後ろに来る黒人男性がピート大統領の隣に来る。

「大統領・・家族の事を知りたい。」

「おお、η(イータ)みんな元気だった。」

「子供達も元気かい、それならいいのさ」

「よし、所長も大統領も来たしみんな落ちついて座れ」

テーブルの1番奥に座っていた金色のスーツを着ていた男が皆に聞こえるように大声を発する。長いテーブルにみんな座る。

「あんとアリスはこっちへ」

「えー、イプシロンが議長?あたしでしょう。」

あんはそういいつつ、イプシロンの隣にどかつと勢い付けて座る。

「大統領・・」一羽はテーブルの端に座ると

隣のイスを指してピート大統領を誘導して

テーブルに集まった顔を眺めた。

「α(アルファ)01 アリス、α(アルファ)02 あん、β(ベータ)カンザス、ガンマ(ガンマ)ジョニー、δ(デルタ)順、ε(イプシロン)ガルマ、

Ζ(ゼータ)カイラム、η(イータ)ブロッサム、

シータとイオタはどうしたのだね。あん」

「シータは順応中です統括・・イオタは一度目覚めた後、また・・」

「おっと・・あいの報告ではイオタまで準備出来てると・・」

「いや、睡眠学習にて管轄しています。

イプシロンがみていますので❗間に合わせます。」

「そうか・・αの0ナンバーが言うんじゃ・・それでここにいる者で行うしかないか・・」


テーブルの上の地図の一点を指差しあん少女がピンを一本差した「ここが第一の降下地点となる」


作戦会議が始まった様に感じた。一羽は

もう一度皆の顔を見渡せた。

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