PART:3

 歓迎会では、ザウレンジャーとチェリーブロッサムは暖かく迎え入れられた。


 冒険家のような戦隊が探索戦隊アドベンジャー

 アジサイのブローチの魔法少女がハイドランジャー

 動物のマスクの戦隊が生物戦隊ジオレンジャー

 スイレンのブローチの魔法少女がウォーターリリー

 時代劇のような格好の戦隊が刀剣戦隊ソードマン

 花ではなく料理器具が模られたブローチのカスタード

 野球選手ような戦隊の野球戦隊ドリームナイン

 ゴスロリの魔法少女アイビー

 中華風の戦隊の竜拳戦隊ドラゴンジャー

 ひまわりの魔法少女のサンフラワー


 あまりに多いので修二は途中から覚えるのを辞めた。

 アドベンジャー達は初めて自分が戦隊になった日の事を教えてくれた。ドラゴンジャーは相槌を打ちながら、あまり緊張しなくていいよと言った。

 チェリーブロッサムも同様で同じ魔法少女に囲まれ、衣装や髪型を可愛いとほめられていた。修二以外ほとんど友達のいない友菜にとってはこれ以上はないほどうれしい経験だった。


 歓迎会の後、6人はクマによって別室に集められ、そこで各アイテムや今後の活動についての説明を受けた。それによるとメールを開いたときの変身はいわば仮免許であり、このアイテムによって正式に免許を取ったことになる。またスーツの採寸の意味もあるらしい。これを使えばいつでも好きなタイミングで変身が出来るが、どのような目的で変身したのかは記録されている為、これを使って不正なことをしようものなら魔法界と戦隊協会の取り締まりの対象になる。というものだった。


 「アイテムの説明は以上になります。マジカルブローチはチェリーブロッサムさんの、ザウルスブレスはザウレンジャーさん達の変身や魔法界への行き来に欠かせないものなので、大切に管理してくださいね」

 「もし失くしたらどうなるんだ?」

 「再発行は出来ますが、手数料は自己負担となります。そもそも、これらのアイテムを失くさないという事が、戦隊・魔法少女の一番最初の仕事なのです」

 「なるほどー」


 賢次の質問への回答に友菜は熱心にメモを取った。修二も最もだと思い深く頷いた。言うなればこれを手にした時点で、もう仕事が始まっているという事だろう。


 クマのガイダンスの後は、簡単な戦闘訓練としてグラウンドのような場所に案内された。


 「ここで、教導役として先輩方に来ていただきました!」


 クマの号令が言い終わらないうちに5人の戦隊が一人ずつ空中で一回転しながらクマの横に着地した。さらに3人の魔法少女がひらりと降り立つ。


 「彼らが今日ここで皆を鍛えてくれる皆さんです!」

 「刀剣戦隊ソードマンを代表して、レッドソードだ」

 「竜拳戦隊ドラゴンジャーの代表、ブルードラゴンです。本日はよろしくお願いします」

 「探索戦隊アドベンジャー代表、グリーンベンジャーっす。武器を使うのが得意なので、まあ色々聞いてください」

 「遊戯戦隊バーチャルファイブ代表のバーチャルピンクよ」

 「そして、野球戦隊ドリームナインのエース、ドリームホワイトだ。今日は君たちを安心して仕事に送り出せるよう指導していこうと思っている。皆、よろしくな!」


 「よ、よろしくお願いします!」


 一方、教導役を務める3人の魔法少女に友菜は何度も頭を下げて挨拶をしていた。


 「あ、あの、私、桜野友菜って言います。あ、あれ?ええと、ここではチェリーブロッサムだったっけ?と、とにかく、よろしくお願いします!」

 「そんなに緊張しなくって大丈夫だよ~。私だって最初は戸惑ったけど、慣れれば楽しいからさ。あ、私はサンフラワー。よろしくね」


 ひまわりの髪飾りを付け、チアガールのような服装をした魔法少女がそう名乗った。

 

 「そうそうその通り。俺はオキザリス!新人の内は先輩に頼りなって!」

 「私はカスタード。お腹減ったら美味しいお菓子作ってあげるね~」


 一人称が俺で、長いツインテールをした魔法少女とコックさんのような格好の魔法少女もチェリーブロッサムを元気付けた。


 「よし、全員の自己紹介が済んだようなので、早速訓練に入ろう」

 「そうね。まずやってもらう事と言えば……」

 「あれしかないっしょ!」

 「ですね~」


 ドリームホワイト達の言葉にザウレンジャーとチェリーブロッサムは気を付けの姿勢をとって、これから来るであろう厳しい訓練に備えごくりと生唾を飲み込んだ。しかし実際に言われた内容を聞いて、彼らは耳を疑った。


 「君たちにやってもらう最初の事、それは……名乗りポーズを考える事!」


 

 

 

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