PART:2

 新人魔法少女の歓迎会は、魔法界にて戦隊の新人歓迎会と合同で行われる。詳細は後日のメールで改めて伝える。それがメールのメッセージの最後だった。

 そしてその日、友菜と修二は魔法界にある講堂の前に立っていた。といっても電車や飛行機の類で魔法界に向かったわけではなく、歓迎会招待メールを開くと自動的にワープするといったものだった。


 「来ちゃったね、本当に」 

 「ああ。しかもメール開いただけで来れるとはな」

 「でも、まだ少し信じられないな。私が魔法少女で、修ちゃんが戦隊、それもレッドになっちゃうなんて」

 「俺だって未だ信じられねえよ。でも実際俺はヘルメットとスーツを身に着け、お前は魔法少女の姿になった。残念ながらこれは夢ではなく現実みたいだぜ」

 「あはは、そうだね。それじゃあ行こっか」


 二人が中に入ろうとすると、二人のすぐ横に白い光が現れ、中から四人の男女が現れた。


 「おいおい、ここ一体どこだ?てかお前ら誰だ?」

 「メールの通りなら魔法界のはずなんだけど……」

 「もしかして、君たち?」

 「メールにあった他のメンバーと魔法少女さん?」

 

 ガタイのいい黒いジャージの男、つり目の青いパーカーの少年、頭に黄色いバンダナを巻いた少年、ピンクのリボンの女性。彼らも修二や友菜と同じく携帯電話やスマートフォンを手にしていた。

 友菜が何か言おうとしたとき、講堂のドアが開いて中から熊のような小さな生物が出て来た。


 「新人魔法少女と新人戦隊のみなさ~ん、魔法界にようこそ!まもなく歓迎会と変身アイテム授与式を行いますのでついてきてくださ~い!」


 そう言って手招きして来たので、修二達は中に入ることにした。


 「いや~まさか俺達があの戦隊になるなんてなあ」

 「メール開いていきなり変身するとは思ってなかったけどねー」

 「それそれ、えーっと、君は……」

 「ザウルブルー、だってさ。弘田一成っていうんだけど」

 「俺はザウルブラック、椎名賢次だ。よろしく!」

 「僕はザウルイエロー、塩塚佑磨だ」

 「私は平橋由香。ザウルピンク」


 熊の案内で長い廊下を歩く途中、例の四人が話している。聞いてみる限りでは、彼らもまたメールを開いて突然変身してしまったようだ。

 彼らの話題は修二へと向けられた。


 「君が、もしかしてレッド君かな?」

 「あ、はい。ザウレッド、矢口修二です」

 「そっかー君が我らのレッドか」

 「少し頼りなさそうな気がするけどね」

 「それを言われたら弱いですけど」

 「まあ俺達もほとんど素人さ。これから5人で頑張って行こうじゃないか」


 はい。と答えたものの、修二は思い切りプレッシャーを感じていた。


 「それで君が、一緒に選ばれたっていう魔法少女ちゃんかな?」

 「はい。桜野友菜、チェリーブロッサムって言うそうです」

 「よろしく。君も一緒に頑張ろう」

 「ちなみに私は見たまんまクマって名前でーす。こちらにどうぞー」


 クマと名乗った熊は、突き当たりの大きな扉をあけ放つとこちらに来るよう手招きした。中に足を踏み入れた修二たちは割れんばかりの拍手で出迎えられた。

 歓迎会場を埋め尽くしそうな数の戦隊や魔法少女達が拍手していた。

 

 「皆さんご注目ください!このたび新しく魔法少女と戦隊に選ばれました、チェリーブロッサムさんと強竜戦隊ザウレンジャーです!」


 クマはいつの間にか用意していたマイクで修二たちを紹介すると、再び大きな拍手が巻き起こる。生まれてこのかたものすごい数の人間に拍手される経験何てなかった修二と友菜は思い切り照れてしまっていた。賢次達も同様に頭をかいたり、下げたりと多種多様なリアクションを行っていた。


 「はい、こちらがチェリーブロッサムさんが変身に使うマジカルフラワーと、ザウレンジャーが使うザウルスフラッシャーになります」


 それを使えばいつでも好きなタイミングで変身したり、解除したりすることが出来ますよ。という説明付でクマから渡されたそれはブローチとブレスレットだった。

 友菜はブローチのピンクの石、修二達5人はブレスレットのスイッチを押す。魔法少女の衣装と戦隊のスーツとヘルメットが瞬時に装着され、チェリーブロッサムとザウレンジャーの姿になった。

 会場を大きな歓声が埋め尽くした。



 


 

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