沖田総司も斎藤一も、まだ二十代の若者だった。どこまでも、まっすぐに。

幕末、動乱の京都を駆け抜ける新撰組。
沖田総司は病をおして戦うため妖の力を借り、斎藤一は生まれつき妖を狩る力を持つ。

エッセイ『新撰組紀行 ‐ 斎藤一と、京都を歩く』で、著者の描く新撰組に関心を抱き。
中編『斎藤一、闇夜に駆けよ』を拝読して、これは凄いとレビューを書き。
その直後に連載が始まった本作を、ずっと楽しみに追っていました。

中編のレビューにも書きましたが、食えないおっさん・勝海舟が好きです。
どこが好きなんだろうと、本作の連載を追いながら考えていたのですが……。
後世の人間である私は、斎藤がいつ死ぬかを知っている。
しかし、この物語の中の彼は、非常に危うい。
でも、勝海舟に使われている間は死なないような、安心感があるんですね。

かつて大河ドラマ「新選組!」を見ていました。
ドラマでは、どうしても俳優さんたちの実年齢にも印象を左右されますが。
新撰組が京都にいた頃の斎藤や沖田は、20歳そこそこの若者。
凄腕の剣客とはいえ、今の大学生くらい。
友との関係、女性との出会い(ヒロインが二人とも魅力的!)、心の動きに「青春」を感じます。


終章。「幸せだった」と言える人生で、本当に良かった。
素晴らしい連載を、有難うございました。

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