病の疑い

嗚呼…キツイ…吐き疲れて家に帰ると少し外が騒がしい気がして…でも、気にせずテレビをつけた。数秒後の映像に僕は目を疑った。

その画面に映っていたのは


嘔吐中枢花破性疾患おうとちゅうすうかべんせいしっかん感染者の疑い】



なんだコレは…。僕のかかっている病の本当の名前…。にしても何故、コレが??困惑しながらテレビを観る。すると…

「「江戸時代に流行った病が再病!」」

「「花弁に触れると汚染される!」」

「「感染者は隔離するべき!」」

「「花を吐くなんて喜色悪くて仕方ない!」」


は??何だこれ…。隔離?気色悪い?僕は頭を抱え蹲る。知ってる…知ってる…昔の病だって…花弁に触れると感染する…けど、

隔離なんて必要ないし、気色悪いなら、顔を出さないで好き勝手言ってるアンタらが何処かに行けば良い…。


やっぱり病もキツイ…また、急な吐き気に襲われる…嗚呼…苦しい…身体も心も…。

気分が悪くなり、外に出ようとドアノブに手をかけた…その瞬間…インターホンが鳴り、ビクッと身体が震え、ゆっくりと鍵を開けドアを開く…。すると…宅配便だった。焦っていた僕も悪かったけれど。冷汗を前に判子を押しさっさとドアを閉める。勿論二重ロックで。


少し安心したかと思うと喉が乾いて仕方なかったので、飲みの物を取りに冷蔵庫を開ける、そこから麦茶を取って飲もうと…出来なかった。壁が薄い隣の部屋からが聞こえたからだ。

あまり聴こえなかったが、さっきのテレビで流していたように聞き込みを警察が始めたようだ。

どうする?この状態で出たら、確実に怪しまれるな…。花もまだ散らかったままだし…

どうしよう…迷っている暇もなくインターホンが鳴る…居留守を使う?いや、テレビは付けっぱなしだった。

考えていると気分が悪くなり吐き気に襲われた。我慢が出来ずに花を唾液と一緒に吐き散らかすとドアから

「すみませんー?誰かいらっしゃいませんかー?」

と若い女の声が聞こえた。身に覚えも無く警察でも無いなと判断して居留守を使うことにした。でも、一向に女の声は止まない…やっぱり出た方が良かったのかと思いかけドアノブに手をかけた……

そのすぐ後に声は止んでホッと一息。確認の為に数センチ程ドアを開けその隙間から外を覗くと紙が挟まっていた。嫌がらせとばかり思って一応を開くとそこには

とだけ丸っこい字で書かれていた。


意味が分からなかった。まだ、この時は。





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君と一緒に 夕霧 夜薙 @Natsuml-0419

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