第10話 最初の1台の思い出


先日、とある方がよく聞く音楽のリストをツイートされていました。



そのなかで徳永英明さんの『壊れかけのRADIO』があって、「あ~、そういえば兄がよく聞いていたな」と思い出しました。


徳永さんの美しい声で歌われる。またその歌詞に哀愁をひしひしと感じました。

(ちなみに私のIpodにも入ってます)


最初の1台の黒いラジオ。

中学生や高校、大学と青春を音楽とともに過ごしてきた。大切な思い出のラジオを歌った言葉たち。


私の勝手な想像ですが、

ウォークマンが登場して音楽をテープで持ち歩くようになった頃の物語だと思っています。



最初の1台。


そう呼べる物がみなさんにはありますか?


私にとっての最初の1台はフィルムカメラのEOS kissです。

高校生の頃にお小遣いを貯めて買った最初の1台。


フィルムを入れてシャッターを切り、仕上がりをドキドキしながら待っていて……。

現像された写真を見て喜んだり凹んだり。


あれから社会人になって給料を貯めて、ようやく5Dを購入して、中古市場をチェックしながらレンズをそろえ。

気がついたらレンズ沼に浸かっているという(笑)。


カメラの機材は買ったり手放したりもしましたが、最初のkissだけはいまだに保管庫の奥に大切にしまっています。


どうしても手放せなかったんですよね。思い出をなくしてしまいそうで。


物には思い出がやどる。それも最初の1品には特別な思い出が込められている。そう思います。



世阿弥の言葉に「初心忘れるべからず」という有名な言葉があります。


最初の頃の気持ちを忘れてはいけない。


そういう意味ですが、この言葉には続きがあって、


世阿弥は、

「時々の初心」

「老後の初心」

も忘れてはいけないと述べています。



修練を積んで、できるようになった技。

積んできた経験。

その時々の「初心」。



いろいろな解釈があるでしょうが、私は生き生きと学びつづけることだと思っています。


技でも仕事でも、慣れてくると新鮮さが失われてしまう。

洗練されるのとはちがって、自分ではそう思ってしまう。


そういう時はありませんか?



時には悩んで立ち止まる時もある。

少し道を戻って考え直す時もある。

それでも前へ前へとめざしている。


その姿に生きるという輝きがある。


そのヒントが「初心」に秘められているのではないでしょうか。




カクヨムも1周年。



さあ、今日もまた少しでも書こう!

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