Opening 02: 図書室

   ————シーンプレイヤー:逢坂 胡桃


GM:さて、時間は放課後。シーンプレイヤーはPC2の胡桃くるみだ。


 終業のチャイムが鳴り響くと、辺りの空気が一斉に緩む。程度の差こそあれ、皆それなりに張り詰めて授業に臨んでいたのだろう。さっさと部活に向かうもの、友達と世間話に花を咲かせるもの……人の動きが緩慢に流れ始める。

 東高の校舎は基本的には4階建てで、東西に長い長方形になっている。南側に教室が、西から東へ1組から8組まで順に並んでいる。その北側正面が細い廊下。ちょうど3組から6組の前あたり、校舎の真ん中が吹き抜けになっている。文化祭などの折には一階部分に特設ステージが設けられて、吹き抜け周りの窓枠いっぱいにギャラリーがひしめくことになる。

 吹き抜けの両脇は東西それぞれ少し広いスペースになっていて、横に階段とトイレがあり、北側に各種特別教室が並んでいる。

胡桃は教室を出て、4F北西フロア、いつものように図書室へとやってきている。


胡桃:授業はぽやぽやしつつそれなり真面目に受けてたので終わったらふーって教科書閉じつつ立ち上がってぱたぱた図書室に向かいます。

放課後の図書室がきっと楽しみなのでいそいそ図書室入りました。

GM:普段、胡桃は図書室でどういう風に過ごすんだろう? その場で読む派とか、めぼしい本を借りていく、とか。

胡桃:放課後は用事が無い限りは時間ぎりぎりまで図書室で本を読みふけってる感じですね、そして帰りに本を一冊借りていきます毎日。

GM: ふむふむ。そうすると、今日もめぼしい本を見繕って、席に座って読む感じかな?

胡桃:ですです、今シリーズものを読んでるので昨日の続きの本を探してお気に入りの一番奥の窓際の席でよんでます。

GM:なるほどありがとう。では、そんな君に声をかけてくる生徒がいるね。

「逢坂さん」

胡桃:本読んでるので隣に人が来ても特に反応しませんが、声をかけられたら首傾げてそっちを見ます。「はい?わたしですか?」って本開いたまま。

GM:「やあ、おつかれ」

同じ文芸部の、仲将臣なかまさおみだ。西洋中世チックなファンタジーが好きで、神話知識が豊富な男子。同級生だね。

「何を読んでるの?」

胡桃:「……あ、仲君じゃないですか」

一瞬認識が遅れましたが知り合いだと解るとわーって感じでにこにこしつつ本ぱたんして、本掲げて表紙見せつつ

「最近読み始めたんです、知ってますか?」

ミステリー小説読んでました。

GM:「あ、それこの間読んだ。展開は……お楽しみに、だね」

そういってにっこり。あ、ちなみに黒の細めのメガネをかけてるよ。ツンツン立ってはいないけど短め髪型。どちらかというと細身なタイプ。

胡桃:「言っちゃだめですよ」

お楽しみにって言われたらふふってして頷きます

「仲君は今日は何を読むんですか?」

身体そっちに向けて小声で少しだけおしゃべりの姿勢。

GM:「ああ、それがね……」

眼鏡の奥で黒い瞳がいたずらっぽく微かに輝く。

「……内緒だよ? とても面白い本を手に入れてさ、早く読みたくて居ても立っても居られないんだ」

そう言って彼は目を細めると、人懐っこそうにはにかんだ。内容はナイショ、だそう。

「そのことでお願いがあって……今日の合評会のことなんだけど、僕今日出れないってことで、伝えてもらいたくて。こっそり家に帰って、読もうと思ってさ」

胡桃:座ったまま眼鏡の奥を見上げつつ、面白い本があるとの言葉にこちらも少しだけ表情を輝かせるも内緒だと言われれば眉を下げて残念そうに

「……あら、意地悪なんですね。教えてくれたっていいじゃないですか、どんな本かくらい」

ちょっと食い下がりますけど深入りはしません。お願いを言われたらにっこり笑いつつ、

「いいですよ。……その本の事を少しだけ教えてくれたら。交換です」

イタズラめかして言いますけど、すみません教えてくれなくても引き受けるつもりです。

GM:そういわれると、困ったように笑って、そして声にはせず、ゆっくりと口の動きだけで伝える。キミには、こう読めただろう。


「ま・じゅ・つ・しょ」


胡桃: それを見たらゆっくり目を見開いて口を開き掛けます。けどさっきよりも声を潜めて、

「……それは確かに、こっそり読みたい本ですね」

割と興味引かれましたのでちょっと興味深そうな視線を向けますけど早く読みたいんだろうなぁって思うので引き下がります。

「交渉成立です。読み終わったら、感想聞かせてください」

引き受けました。

GM:じゃあ、視線と手の仕草で感謝の意を伝えると、そのまま手をひらっと振って去っていくね。

胡桃:こっちもお手手ふりふして魔術書いいなぁって思いつつ、合評会までの時間、本の続き読んで時間潰します。

GM:そうやって、いつもの放課後が過ぎていくだろうね。


 にこやかに友人に手を振って見送ると、またお気に入りの席について本を開く。一番奥の窓際の座席。遠く眼下に校庭の部活動の様子を眺めながら、静かに読書を楽しむ時間。胡桃のお気に入りの時間が、今日も緩やかに過ぎてゆく。

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