◇あとがき(書籍版)◇


 吸血鬼は何故『死人』なのか?

 多くのファンタジー小説やRPGにおいて、吸血鬼は死人、アンデッドとして扱われている。

 生命の象徴である太陽の光を嫌い、聖なる十字架や聖水を嫌い、ターンアンデッドを唱えれば灰に帰る。

 そもそも、一度死んで蘇った亡者なのだから、『死にぞこないアンデッド』なのは間違いない。

 しかし、吸血鬼は自分で考え、自分の意志で行動しており、感情も存在する。

 怒って、泣いて、笑って、悲しんで、生きた人間と変わらない。

 そして肉体も、能力が桁外れではあるものの、生者とさして変わらない

 怪我をすれば血が飛び出すという事は、心臓も動いているのだろうし、怪我が再生するという事は、体細胞も活動しているのだろう。

 そんな吸血鬼のどこが死人なのか? 生きた人間と何が違うというのか?

 勿論、脳も体もとっくに活動を停止しているけれど、邪悪な魔法の力で動いている死人なんだよ、という考え方もあるだろう。

 だが、何でも魔法で、不思議で不可解な力で解決しようとするのは、何とも興醒めである。

 だから考えた。吸血鬼が死人である理由を。

 そんな疑問とその答えから、この物語は生まれました。


 はじめまして、こんにちは。夏希のたねと言うふざけた名前の物書きでございます。

 この度は本書『クリムゾン・オーガ』を手に取って頂き、誠にありがとうございます。

 先にも書いた通り、この作品は「吸血鬼は何で死人なのか?」という小さな疑問から始まりました。

 そこから、あれよあれよと膨らみまして、このような形になったしだいですが、如何だったでしょうか。

 では、ページも尽きてきましたので、お世話になった皆様に謝辞を。

 担当編集者様、こんな趣味全開の作品に付き合って下さいまして、本当にありがとうございます。

 イラストの津雪様、キャラクター達に素敵な姿を与えて下さり、感謝の言葉もございません。

 そして、本書を手に取って下さった読者の皆様、この物語で少しでも楽しんで頂けたなら、これに勝る喜びはありません。

 それでは、またお会い出来る事を祈って。


二〇一〇年十二月某日 夏希のたね

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