05:おクチご奉仕する宇宙人

 「あぅっ、ぅんンっ……♡ はぁ、アナタぁっ……♡」

 エッチはピクピクもだえた。指先を咥えられただけで、この感度か……。

 「ちょ、ちょっとガマンしてくださいね」

 「んぁっ、やァンっ……貴方の舌が指先に、当たって……ハァァっ♡ 痛キモチイイですぅっ……♡」

 「ごめん、ごめんって! ……はい、お待たせ」

 ちゅぽんっ! と指を口から抜く。エッチは、口を開けっ放しにして、かすれた声を漏らした。

 「やぁ、あぁぁぁぁぁァっ……♡」

 「……ええっと」

 すごく、反応に困る。

 「ば、絆創膏を貼りますね」

 色っぽくもだえるエッチを直視できず、ささっと絆創膏を巻いておく。

 「はい、オッケーです。気をつけてくださいね。缶はわりと手切りやすくて、危ないので」

 「エッチですっ……っ。私のためにそこまで……っ! うふふふふ、うれしいですっアナタぁっ♡」

 「ちょっ、ちょ、ほっぺたこすりつけないでっ!」

 エッチは、豊かな体を惜しみなく俺にぶつけ、抱きついた。幸せそうに目をつぶっている。

 「あっ、申し訳ありません。おクチでキスして差し上げないと、物足りませんよね。ンふふっ……んンっ……ちゅっ、にゅっくちゅ、ちゅっ♡」

 「あひぃっ!?」

 エッチは、抱きついたまま俺の頬にキスしてくる。

 「エッチです。おクチご奉仕して差し上げたら、体びくって震えましたね♡ 喜んでいただけました?」

 「……もちろん、うれしいけど、そのっ」

 俺は顔を必死にそむけようとした。が、エッチにつかまれ、顔が横をむけない。

 「エッチです。ウフフっ、もじもじしている貴方もカワイイですね♡」

 「い、いいから、朝食を食わせてください朝食!」

 

 そんなこんなで、でかける準備を終えた時には、ほぼ授業開始時刻になってしまっていた。今日は仕方ないな……。

 「じゃ、エッチ、行きましょう。いつもより遅い電車なので……今出れば、ちょうどいいですね」

 「エッチです。はい。では、本日も一日、他者奉仕活動に邁進いたしましょう。私も、貴方をお手伝いさせていただきます」

 すると彼女は、「ちゅっ♡」と空中に投げキッスした。すると、俺がまばたきする一瞬のうちに、彼女は変身していた。

 ちょっといかがわしいシスター服から、高校の制服であるセーラー服姿へと。

 ひざ上15センチくらいはありそうなミニスカート。

 自己主張が激しい胸部、真紅のスカーフ……。

 それから、満面の笑みがまぶしい。まぶしすぎる。

 「エッチです。アナタ、どうかしたのですか? 目がまん丸になっておりますが……」

 「なっ、なんでもないです。エッチが可愛いから凝視とかしてたわけじゃないです!」

 ……あっ。

 「エッチです。フフフ、貴方は正直ですね」

 「うあ~~~っ……!?」

 俺は頭を抱えた。

 「恥ずかしいのですか?」

 「ちょ、ちょっと……。いや、可愛いとは、思ってますけどね」 

 「エッチですっ、ねぇアナタ、どこが可愛いのですか? 言っていただけると、さらにうれしいのですが……うふっ♡」

 エッチは流し目を俺に送りながら、口に上品に手をやった。

 「……す、スカートとか、ひらひらしてて可愛いですね」

 俺は、無難なところを褒めた。エッチの場合、体が女性らしすぎて、どの部位を褒めてもなぜか犯罪臭くなってしまうのが困る。

 「エッチです。なら、もっと近くでごらんになって下さい……♡ ほら、いかがですか? ほら、ほらっ♡」

 ペロッと舌を出しながら、スカートをまくるエッチ。

 「ちょっ、パンツ見せないでくださいっ!」

 「エッチです。あら、そうですか? でも、可愛いと思っていただけているのですよね?」

 「そ、それは……っ」

 エッチの瞳のハートマークが、ゆっくりと点滅しだした。な、なんか怖い。

 「エッチです。ンふふっ、アナタのお好きなところを見ていただいて構わないのですよ? ほらっ、そんなによそを向かないで……♡ 私、寂しいですぅっ♡」

 「うっ?!」

 エッチは、そのセーラー服姿で俺に抱きついた。ぎゅぅっ……と、やわらかく締め付けられる。

 「あ、相変わらず、エッチは超献身的ですね。そこまでしてもらって、悪いなぁ、なんて。は、あははっ」

 「エッチです。私たちは、すべての他者を愛しています。宇宙のすべては、本来ひとつのもの。ですから、私が貴方にご奉仕するのは、貴方がご自分の体をいたわるのとまったく同じことなのですよ? ですから、遠慮なんてしないでくださいね。さぁ、アナタ……♡」

 「大好きオーラ」みたいなものを発しつつ、エッチは俺の体に甘えた。

 むに、むにっ……! エッチの生々しいやわらかさに、頬が熱くなる。

 「うぅぅぅっ……! で、でもっ、それってことは……別に、俺じゃなくても、誰でも愛してるってことですよね! だったら、こんなに俺ばっかりにベタベタしなくっても……っ!」

 「エッチです。しかし、今回、私を召喚したのは貴方です。私たちは、貴方がたの要求なしにはご奉仕できません。あぁ、こんなにご奉仕したくてウズウズしているのにぃ……っ! 地球人の方たちったら、いつも宇宙のことぜんぜん気にしてなくってェっ……本当にいけずですぅ♡ 私たちは、ご奉仕できるのをいつもお待ちしていますのにぃ♡」

 エッチは、腰をクネクネと揺らした。

 「――しかし、貴方はとても素直で、愛の波動にあふれていらっしゃいますね♡ そんなアナタが大好きですよ♡ ……ねぇ、アナタ。『行って来ます』のチュー、しませんか……?」

 「それは普通、見送る時にするんじゃないんですかね?! エッチだって学校行くんでしょっ……!」

 「ハァっ……♡ 私の愛情、いっぱい受け取ってくださぁいっ……♪」

 「き、聞いてない」

 「ンふふっ、アナタぁ♡ んむ……ン♡」

 「んぷっ!?」

 また、エッチがベロちゅーしてきた。口がぬるっとして、とたんに脈が速くなってくる。

 「ふぁ、ぁむンっ……にゅるっ、にゅるるるるるるぅっ……♡ ンっくちゅ、にちゅぷヂュぅっ♡」

 エッチは、俺の腋の下から背中に腕を伸ばした。そのまま、壁に俺の体を押し付ける。別に痛くはない。俺のことが好きでたまらず、くっつくうちにそうなったという感じだ。

 でも、それにしたって……これは!

 「やぁっ、アナタ可愛い……ステキぃっ♡ もっとベロちゅーしてくださぁいっ♡ ぁむっ……ん、にゅるにゅる、れろれろれろれろ♡」

 「うわっ、ぷっ……!?」

 エッチのベロにびっくりして、口を閉じてしまう。

 「あぁんっ! アナタぁ……私に、行ってきますのおクチご奉仕、させてくださらないのですかぁ……?」

 エッチはうるうると、目いっぱいに涙を溜めた。

 「うぅっ!?」

 「アナタのおクチに心地よくなっていただきたいと、私は、私はっ……!」

 エッチは、俺にぎゅっと抱きつく。

 「うっ、お、俺が悪者みたいだ……! い、いえ、『させてくださらない』なんて、そんなことはないんですが」

 「はぁぁっ……よかったですぅっ!」

 パァッ、とエッチの顔が明るくなる。これは断れないな……。なんだか、手玉にとられてる気がしなくもないけど。

 「エッチですっ。では、行きますよアナタ……♡ はぁっ……ン♡」

 「うっ……!」

 エッチのくちびるが、優しく触れる。

 「うふふっ、アナタ、くちびるが震えていますよ? 怖いんですか? 怖がらないで下さい、私は貴方が望まれることしかしません。貴方がご不快に感じることなど、ひとつもないんですよ♡」

 「わ、分かってます。ただ、緊張しただけで……!」

 「エッチです。ふふ、可愛いアナタ♡ 私のおクチご奉仕で、極楽へ連れて行って差し上げますね♡ ンふふっ、むにゅっ、くちゅぅぅぅぅぅ~~~~~っ……♡」

 「うっ、んぶぶ!?」

 エッチは、俺のくちびるに吸い付いて、離れない。しかも、普通のキスが、たちまちベロちゅーに移行していた。

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