#47 Monologue III

 巡り巡る記憶。逡巡し錯綜するかつての走馬灯。


 果てしなく流れるそれは永遠よりも長く感じ、遠く遥かな久遠の中で鋭利に切り取られた、刹那よりも短い儚い夢の様で。


 って、もしかしなくとも、おいおい『また』なのかよ…………。


 況や極めて俗物的な一般論に準ずれば、走馬灯って普通は死ぬ間際の一回だけしか見ないものじゃないのか?


 見当違いの感想。遅まきながら、そこで悟る。


 あぁ僕は『普通』じゃないからか。なんとも枠の外にいるって素晴らしい。


 まぁいいさ。実際問題そんなに悪いものじゃないから。

 何度見たってそう気分が沈むようなものでもないしね。


 自分を振り返るのは少しムズかゆいけれど、まぁ恥ずかしがる身体もないから構わない。


 だけど今度は僕を何処に連れていこうというのかい? 別にどこでもいいけどね。

 どうせ僕は存在が完全に消失するのを待つだけの身だ。つまりは暇人だ。


 でも、折角なら楽しい気分になれるところに頼むよ。

 悲しい気分になるよりは、嬉しい気分のほうがいいに決まっているさ。

 僕はツラさを快感に変えられる特殊能力は持っていないのだから。


 さぁ、何処へなりと僕を連れていけ!


……出来ればとびっきり楽しい夢にね。

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