Episode参〜瓦解する日常〜

「あっはっはっ! おもろい事を抜かしはる、お子ちゃまやなぁ!?」


「レン……」



 骸鳭は爆笑した。



か! エエやん、思う存分血祭りにあげたら少しは大人しゅうなるんやろ? ──夜月響鬼くん?」


「…………………………お前らと、話す意味皆無。七つの大罪の、怠惰・強欲……そして傲慢、だろう?」


「おぉ、知っとるん? てっきり君みたいな子にはやろし、知らんものと思っとったんやけど」


「…………………………情報は必要。会話は無意味」


「そかそか! ……なら早う殺ろうや?」


「…………………………狂う終わりの世界録crazy・Holiday・of・end


「──チッ」


「うわーいきなりかよー?」


「…………………………五月蝿い社蓄が喋んなよ」


「社蓄って酷いなぁ? 俺らも好きでやってる訳やないのにぃ〜」



 少年──夜月響鬼が何かを呟いた途端に地面が大きく揺れ、立っていた足元が崩れる。



「…………………………ある日天使のラッパが吹き荒れた。その時世界が吹っ飛んだ、今や誰も居ない、その世界の名は──……」


「白狼、雪狼……『雪時雨』!」


「させるわきゃ、ねぇだろ!」



 響鬼の詠唱に伴い、街の崩壊が進んでいく。牢籠は二匹の狼を白銀の風と雪を纏わせながら少年に向かって放つ。ラビアは槍を振り上げ少年に襲いかかる。



「…………………………幽冥の堺ヘル・ラインズ


「なっ……」


「嘘、だろ……ッ!?」



 二匹の狼が見えない壁によって弾き返される。ラビアの槍が見えない何かに当たってラビアが後方に吹っ飛ばされる。



「…………………………誰一人とて傷は付けられないよ、無駄な時間を浪費するだけ」


「…………へっぇ〜?」



 真紅の狼に跨ったまま響鬼は何も浮かばない虚無の瞳で三人を眺める。



「…………あんさんは何をやらかしたん?」


 骸鳭が笑顔を崩さずに響鬼に問う。



「…………………………あ"?」


「やから……あんさんは何か、目ェ付けられるような事をほんまに?」


「…………………………社蓄が何を言い出すかと思えば……だ? 今の現状見て何呑気な事抜かしてやがんだ」


「ちゃうやろ。今のこれはいわゆるやろう? あんさんみたいな人が無意味に人を消し去りかねん、行動を起こす訳が無い」


「…………………………それを知ってどうする。お前らには意味の無い情報だろう?」


「確かにな? せやけどんやからエエやろ、訊くくらい? それともなんや、言えへんような事、ほんまにやらかしてん?」


「…………………………何が、言いたい……?」


 響鬼は疑った瞳で骸鳭を睨む。骸鳭はニコニコ笑ったままで何も言わず、響鬼の反応を待っている。


「…………………………自分で調べろ、話す暇、持ってない……」



 グルルッと真紅の狼が嘶き、ダンッと地面を踏み空に飛び跳ねた。



調、なぁ……? ほんまに…………」


「────骸鳭……?」


「???」



 骸鳭は響鬼が消え去った方向を見つつ、呟いた。











「…………言葉にせェへんなら、助けられるもんも助けられへんで……響鬼」











 その笑顔には篭ってはいなかった──……

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七つの大罪と七つの大罰 幽谷澪埼〔Yukoku Reiki〕 @Kokurei

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