Episode壱〜賑やかな日常生活〜

「だァ、らァッ、しゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

「…………雪狼スィロゥ白狼パイロゥ十歩後退。紅狼コウロゥ右斜め四十三度前進の末ナイフ投擲」

「うぉわ危ねッ! ……とでも言うと思ったか、ぅおりゃ!!」

「…………イヤ誰も思って無いし言って無い。雪狼連続で飛び蹴り、白狼『死蘭雪乃舞しらゆきのまい』半径3m範囲発動」

牢籠ロゥロゥっちは冷静過ぎッスよ〜……やらせるかい!」

「…………九澄くずみが五月蝿いだけだろ。……紅狼五歩後退」

目を疑う様な激戦を繰り広げながら和やかな会話が繰り広げられる。

真っ白な白髪を揺らしながら、五匹の狼を操る騎士はシュウ 牢籠ロウロウ。騎士団組織『七つの大罪セブン・シンズ傲慢の罪プライド・シンを司る騎士で、使い魔を使用した獣使役アニマルズ・テイラーが得意。冷静過ぎて少々デリカシーが無いのが玉にキズだが其処はご愛嬌かもしれない。

対する白銀の髪を掻き上げて叫ぶのは蔭鴇雪哉かげつきゆきや。『七つの大罪セブン・シンズ』の対なる組織『七つの大罰セブン・ペナリティ』で、慈悲の罰ビネボランシィズ・ペナルティを司る騎士だが、本人が軽すぎるせいか騎士としての威厳は皆無と言って等しい。牢籠が言った久澄とは彼が使役つかう使役獣、九頭龍の九頭と雪は『そそぐ』と言う意味があるので、ソレを合わせて『久澄』と呼んでいるらしい。……当の雪哉にはよく解んないらしいが。

「…………………………戯言は良いから、早くしろ。仕事の時間が来るだろ……」

「ヘイヘイヘーイ(笑)」

「…………オラァ二人共! 貴様ら仕事はどうしたァ!?」

「「…………ゲッ!?」」

「二人揃って『ゲッ』って言うな馬鹿野郎共!!」

さァ技を繰り出してやろうとした所に水を指したのは、『七つの大罪セブン・シンズ』団長、憤怒の罪ラゲィジ・シンを司る騎士で、新撰組副長土方歳三の様に面倒臭い仕事馬鹿である。名前を鉄菱緋慈暎かなびしひじばという。

「…………………………面倒臭ェ……」

「面倒臭ェッス〜(笑)」

「おいコラ二人揃えて『面倒臭ェ』って言うな!」

「「バレた!?」」

「バレるわ馬鹿共が!! さっさと仕事行け傲慢プライド慈悲ビネボランシィズ!!」

憤怒の罪ラゲィジ・シンに蹴飛ばされてその場はお開きとなった。








…………その時の俺たちはまだ気付いていなかった。疑心暗鬼と猜疑心に塗れた日常が来る事になるなんて……。


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