第4話







その日から俺は、部活の休憩時間の度に、明人の所へ行った。



「雅春、また来たのか」



ぞくっとする。

その声で、名前を呼ばれると。

低音でゆったりとした声。


ああ。良い。

出来ることなら、録音して寝る時に聴きたいくらいだ。

今までのオカズの中で、一番興奮しそう。



自分が人と少し違うのは、前から知っている。

音や声に、興奮するんだ。

俺は、特に楽器の音が好きで。

だから、吹部に入った。


エロい先輩がいる部活に入りたくなるのと、同じようなもんだと思う。

…違う?

えー・・・。難しいな、俺わかんね。



でも、どこで間違えたんだろう。







「雅春…俺と付き合ってほしい」






ある日の部活帰りの時。

呟かれた明人の、真剣な声に驚いた。


そんな声も、出せるのか。

うわ、クる。腰にクる。

もし、付き合えたら――









その声を、沢山聴くことが出来るんじゃないんだろうか。








そんな考えで、俺は明人と付き合い始めた。







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