第2話





「――ぃっ!」



飛び起きた俺は、右耳を押さえて呻いた。

顔を上げると、俺の待ち人が居て。



「あ。明人だ」


「あ。じゃねーよ!またこんな事しやがって…」



明人は、俺の左耳からもイヤホンを引っこ抜き、携帯を没収した。



「良いところだったのに!」


「うるせぇ!その顔どうにかしろ!」



怒鳴った明人は、俺の目元をごしごしと擦ってくる。

い、痛い。

恐らく、俺は泣いていたんだろう。


苦しくて、愛しくて、どうにかなりそうだったから。



「ありがと~。明人」


「…っ!その顔も、やめろ…」


「えぇー・・・」



感謝の気持ちを込めて、へにゃりと笑ったのに。

それも、却下されてしまった。

しかも、顔を逸らされる始末。


ちょっとむっとしたけれど。

明人の耳が赤かったから、照れているのだと理解した。



「そっか。お前、俺のこと好きだもんね。笑った顔、照れる?」


「おっまえ…!あぁ、そうだよ!悪いかよ!?」


「悪いなんて、誰も言ってないでしょ?」


「大体…雅春だって、俺のこと好きだろう!?」


「うん!俺好きだよ、明人」







その声が。







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