第19話「太陽死す!」
……なんだここ。
女子の部屋ってもっとかわいくなかったかな。リラックマがおいてあるとか、アロマセットがあるとかさ、ピンクを基調にローソファーがあってさ、そこでテレビをみてくつろぎながら、テーブルの上にはお菓子がいっぱい♡
部屋から出れないーみたいな。カーテンは、花柄ー的な、そういうのが女子部屋じゃないのか。
なんだこの異空間は!
壁はコンクリートの打ちっぱなし。部屋中が金属パイプでできた棚でおおわれていて、見る限りパソコンとケーブルだらけ、3台あるデスクの上には6台のモニターがのっかっている。パソコンの数は10以上あるぜ、つーか一台はパソコンとは思えないくらいでかい。パソコンのファンの音はうるさいわ、熱はすごいわで不快指数はショート寸前、今すぐ会いたいよ。
あぁーおれの頭がおかしくなる。
地面中に這っているケーブルが蛇のように今にも動き出しそうで気味が悪い。
しかもところどころにPS1~4、ドリームキャスト、ゲームキューブ、うわっ、3DOリアルとかPCエンジンデュオまであるじゃねーか。なんだよこの部屋っ!
「はっ、はいようはん、ほんひひわはぁ。」
マキナが言葉を発するより先に、隣部屋から声が聞こえてきた。何って言ってるかわからないが、そういえばこの部屋にはもう一人いたんだった。
声の発する方を見ると、後ろ手を縛られながら、猿ぐつわされてるマリンちゃんが恍惚の表情を浮かべながらこちらを見つめていた。
ええっと何らかのプレイ中でしょうか…。
「あっ…つっ…。」
と、声をあげて急にもだえるマリンちゃん。
それを見て思わず僕の
「ちょっとマリン、何勝手に声かけてんのよ。こっちは忙しいっていうのに!」
モニターとにらめっこしていたマキナが厳しい声でマリンにしかりつけた。
すると僕らに気づいたようで、(いや、ちゃんとインターホン鳴らして、マンションの入り口を開錠してもらってるから、もちろん気づいてただろうが。)
「あっ、先輩いらっしゃい。ちょっと散らかってるけどその辺の椅子に適当に座って。」
と言われた。
床のケーブルの隙間をみつけておいてあった椅子に僕は腰を掛けた。
「すげぇ部屋だな。何台パソコンおいてあるんだ。」
指で数えながら僕は聞いた。
「パソコンは3台かな。」
うそつけパッと見ても10台あるだろ。
しかし僕の突っ込みをよそに、ソラは話を始める。
「夜分に申し訳ないがゲームの情報と、脳波を調べられるようなインターフェースを用意してほしい。本当は脳に直接電極を突っ込みたいが、そんな技術はないようだなまだ‥。」
何てマトリックスー、攻殻機動隊ー。
そんなのねーに決まってんだろ。っていうか脳波調べる機械だってねぇと思うぞ。
「脳波ね?OKちょっと知り合い当たってみるよ。情報の方はさっきソラ君からいわれたから友達からもいろいろ調べたよ。大体のことは伝えられると思う。参考までに作ってみたイメージ画像もあるから受け取って。」
「おぉ助かる。太陽、俺ちょっとこの部屋のコンピューターに移動するぜ。マキナ悪いがいちばんいいやつしばらく占有するぞ」
そういって僕のケータイからマキナのパソコンに移ったらしい。
らしいというのは、僕にはよくわからないからだ。
「とはいったのものの窓口はこの端末にしておく。」
と言って僕のスマホから結局しゃべりかけてきたのだった。
6日ほどの付き合いだが、いまだにもってソラのことはわからないことだらけ。
最もわかるわけがない……僕はただ状況に流されるだけだ。
「なぁ、マキナ、ソラは一体何をしようとしてるんだ。」
「あれ先輩聞いてないの?わたしは先輩の移動中に一通り、事情聴いたよ。だから準備したし。」
「ほうほう、いつの間に?俺のケータイからそんな履歴はなかったぞ。」
「えっ、そりゃソラ君は、直接うちのスマホに移動してきてたからね。」
……そうだ、あいつは移動自由だった。
今から行きますって本当にすぐ行ったんだな。
「じゃあ、別に僕はここに来る必要ないじゃん。」
いや、来たかったけどさ。
「先輩が来る必要があったんだよ。」
「えっ?なんで、僕、別に役に立たねぇよ。」
正直コンピューター強くないし、いまだソラのしたいことわからないしな。
「ソラ君はね、実際に廃人にする魔法使いのソースのゲーム作ってみるんだって。」
「ほう、そんなこと言ってたよそういえば。」
「で、廃人になっていく過程を観察して修正プログラムを作るんだって。」
「なるほど。地球人にできたことがソラにできないわけないもんな。」
「だから先輩が必要なの。」
「ん、なんで。」
「必要じゃん、でしょ?」
「はっ?」
「だって実験体だもん♪。」
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