第17話「ウィークエンドクライマックス」
以下、スマホに載せられたソラからの情報である。
『その小学生廃人事件のニュースが来てたことは知ってた。べつに敢えて関わる気もなかったから話題にもしなかったがな。
話は事実だ、ここ一週間で精神病院やら学校やらに相談が殺到している。被害者はざっと一万人ってとこだ。例外はあるがほぼ全員が12歳以下だな…。そして例外なく全員が「魔法使いのソース」をプレイしたらしい。
ところが、警察が制作会社を調べようとしたところ、その制作会社が存在しないことがわかった。それどころか、Androidっていうか、グーグルの発表ではそのようなアプリはそもそも存在しないらしい。もちろん、いまはそのアプリは存在してない。が、そもそもそのアプリがあったということも確認できないらしい。
もちろんグーグル側を全面信用する気もないので、俺自身が調べた。結果、確かにその名前のアプリはあったようだ。あったようだというのは、個人のケータイにダウンロードの履歴が残っていたからで、それ以外に証拠というものはない。
どうやら今週日曜日の朝十時からほんの数時間ダウンロードできただけで、その後そのアプリはきれいさっぱりなくなっている。ご丁寧なことにそのアプリがあった痕跡まで消している。俺じゃなければこのアプリの存在を確認するのは不可能だったろう。一応俺は、消されたデータの
そんなことができるもんなのか、アプリを見た人間を廃人化させて、さらにそのアプリそのものを完全に消す。ソラだからこそ痕跡を見つけたが、完全犯罪じゃないか。これ、警察がなんとか出来るのか。
「どうだ、太陽なんかわかったのか。」
畑が進捗をきいてきた。
「そうだな、かなりやばいってことはわかった。むしろ、これは俺らじゃないと解決できないかも。」
解決できるかどうかはわからないが、なんとかなった場合、ソラの存在がかなり公になるんじゃないか。
協力してくれるかな。
「あなたたちしか、解決できない?どういう意味です。」
しまった、余計なこと言ったかな。
「相当コンピューターに詳しくないと無理だ、と言う意味です。」
とりあえずごまかしておこう。これ以上はソラの事情を知ってる人間だけで話した方がやりやすいか。
と、ソラ伝えたいことがあるようだ。画面に文が映し出された。
『おい、この案件、俺らが受ける義理あるのか。俺らって言うか俺な。べつに俺は一万人くらいが廃人になったところで困らないし太陽だってこまらないだろう。かわいそうだとは思うが伝染病にかかったようなもんだと思って、あきらめてもらった方がよくないか。』
さらっとひどいことを言う。
おう宇宙人よ、そういうスタンスなのかい?
そりゃあ、俺もお前困らないけど、ルイさんかわいそうだし、なんとか出来そうならなんとかしてあげたいのが人情だろう。しかも一万人単位だぜ。
僕が画面とにらめっこしてるのをみて、畑が状況を察したようだ。
「太陽、お前俺に借りがあるの忘れるなよ。」
ドスがきいた声で脅してきた。いやな友達だなあ。
おれは「ソラに頼むよ、このままじゃ立場がない」と
メッセージをおくった。
「畑は人を扱うのがうまいねどうも。ああいうことを太陽に言われたら、俺が断る理由がなくなるんだよ。…仕方ないな。」
ソラは渋々了承してくれたようだ。よかった。一万人の子供が救われるかもしれない。
「ルイさん、いろいろ分かったのでこれから色々と動いてみます。解決する約束は出来ませんが。」
「…本当ですか?ありがとうございます。さっきはカッとなってごめんなさい。」
「ああ、大丈夫ですよ。そんなの気にしないでください。状況をお察しします。」
「本当にお願いします。もう頼れるものなんてないので…。すいません、それでお礼の方なんですがいくらくらいお支払すれば…。」
ん?
お礼、お礼ですと?してくれるのお礼?うわっつ期待してなかったよ。
そりゃあ、もうここはお金じゃもったいないよ。
「お金は一銭もいりません。代わりにルイさんとの濃厚ないっぱ・・・っつ!!」
ドゴッ!!
と畑に何かで殴られた!!
「一発って、お前は冴羽僚かよっつ!」
畑は手に100万円って書かれたハンマーをもっている。
お前は香かよっ!いや柳生博かよっつ!だから突っ込みどころが多いんだよ。
「ルイさんお礼とかは考えなくていい。俺の方で何とかしておくから、それよりま、早くカルラ君のところに帰ってあげな?心配だろう?あと、しばらくは店休んでもいいんだぜ。今日もべつに店にでなくていいって言っただろう。」
おい畑、なんで僕のお礼をお前が決めようとしてんだよ。
このかっこつけ野郎め。いいだろう後で畑に100万くらい請求してやるよ。
「畑さん本当何から何までありがとうございます。でも店には出させてください。カルラは母が見てくれますし、それに今のあの子のそばにずっといると、私の方が参っちゃいそうで。店とか来て少し距離置けた方が正直楽なんです。あと、あの子のためにも稼がなきゃいけないし。」
そうかそういうものなのかもな。
シングルマザーってやっぱ大変だなとしみじみ思う。
すると、ルイさんは急に僕の手を握手する感じで握って、僕の顔を真剣に見ながらいった。
「本当にお願いします、太陽君だけが頼りです。…それとあの太陽君、畑さんはいいって言ったけど、もし太陽君さえよければ、きみの欲しがってるお礼あげます。お金はあんま出せないけど、そっちの方はきっと太陽君満足してくれると思うし…。」
えっ?
なに、マジでいってんの?
やっぱなしとかいうのなしよ。
まったく遠慮しないからね。この状況で僕、そんなこと言わないでくださいルイさんとか物わかりのいいこと言わないよ。
僕の筆おろし、巨乳で美形で子持ちの?ルイさんで済ますよ。
っていうか一発といわずに二、三発やらしてもらうよ。
次々回位からは、この物語性的描写ありになっちゃうよ。
いいんだね?やっちゃって!
今回のミッションは絶対に解決してやる。
一万人の子供たちと、カルラ君のために!
決して負けることはできない、断固たる思いを胸に僕はこの戦いに挑む。
卑劣な犯人よ見ていろよ!かならずや貴様を白日の下にさらして天罰を受けさせる。
僕の正義の心はかつてないほど盛り上がってるぜ。
さぁやってやろうぜソラ!たとえ姿の見えない相手だとしても僕とソラのコンビの追求から逃れられるわけがない。
戦うぞ!正義の名のもとにっ!
ルイさん待っててくれ!すぐに終わらせて、あなたのもとにまいります!
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