第7話 ラブブック~♥ 7

「アルバイトしたいんですが?」


谷子は人生初のアルバイトの応募の電話にドキドキしていた。

アルバイトの応募の電話の掛け方の本なんてなかった。


「ありがとうございます。」


「はい。」


「今までに、どんなアルバイトの経験はありますか?」


「は、初めてです。」


谷子は人生で初めてのアルバイトの応募が、

天下の渋谷スクランブル交差点のツタヤなのだ。


恐るべし、

渋谷生まれ、渋谷育ち。


「いいですよ、面接に来てください。」


谷子は人生初のアルバイトの面接を勝ち取った。


「やった!」


思わず、ガッポーズがでる。

谷子は満面の笑顔だった。




「800円!?」


まず谷子は100円均一に行き、

履歴書を買う。


「800円だなんて、

 そんな大金はない・・・。」


履歴書用の写真を証明写真機で取る、

お金が無い。


谷子の両親はバイト共働きなので、

渋井家はお金持ちではない。


谷子は図書館で本を借りて、

読んでいるのでお金はかからない。


15才、谷子のお小遣いは、

ゼロ円だった・・・。


この時、谷子のくまさん貯金箱の中には、

714(ないよ)円しかなかった。


「・・・。」


谷子は家にあった写真の自分の顔を、

ハサミで切り取って履歴書に貼った。


つづく。


まさかキャラ設定を、

駆け足で深堀りしてきたつもりだった。


しかし谷子の


「お小遣いの金額」


そんなところまで考えていなかった。


おわる。




「よろしくお願いします。」


谷子は

「前髪長すぎ」「メガネ」「ソバカス」「Tシャツ」「短パン」

普段通りのスタイルで面接に来た。


「よろしく。」


店長は中年のおっさんだった。

店長は谷子を頭から足の先まあで見る。


「君も個性的だね、

 いろいろな人が面接に来るから、

 慣れているから問題ないよ。」


店長は気さくでいい人だった。

谷子の持ってきた履歴書に目を通す。


「すごいね、渋谷に住んでるの?」


「はい。」


「交通費が要らないね、合格!」


「ええ!?」


店長の即決に、谷子は驚いた。


「いいんですか?」


「住宅地の子たちは、

 渋谷でバイトして、

 交通費が出るところを選ぶんだよね。


 いざ働いてみたら、

 渋谷はお客さんが多くてしんどいから、

 すぐに辞めちゃうんだよね。


 渋井さんは渋谷に住んでるから、

 長く働いてね。」


店長は谷子に期待していた。

アルバイトが初めての谷子は、

期待に少し興奮していた。


「はい、頑張ります!」


店長は何かを考えている。

そして閃いた。


「渋井谷子だから、渋谷子ちゃんだ!」


「え?」


こうして谷子の、

アルバイト先でのニックネームが決まった。



つづく。


おまけ。


世の中には、

テレビやスマホなどの娯楽が溢れていた。

娯楽は多様化している。


昔みたいに、本が売れない時代、

読書離れの現代に、救世主が現れた。


奇跡の語り手、

ストーリーテラー 渋井谷子。


彼女が本を紹介すると売れる。

彼女が本を読み聞かせると売れる。

彼女が本にポップをつけると売れる。 


彼女は本が大好きな女の子。

もちろん、趣味は読書。

本に対する愛情は、まさに愛!?


1億冊の本を完読して得た知識と、

女子高生の未経験の現実との狭間を描く物語。


か~ん。

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