会津――その地への憧れとそこに住む実情には隔たりがあるとしても

街コン作品は、やっぱりコンセプト自体がすごくずるいと思う。
憧れがある土地や好きな街、愛着のある地方について書かれたら、
こんなに短文なのに、本当に深く感じ入ってしまう。

会津の冬を、九州育ちの私は知らない。
雪の深さや重みや手触り、澄んだ空気の冷たさ、
風のない中で見上げる夜空を知らない。

ここに描かれる情景を体験したことがないからこそ、
同じように唐突に体験してしまった主人公の戸惑いに共感して、
長嶺さんの口から語られる会津の四季に憧れを募らせる。

新撰組を追い掛けているうちに会津にたどり着いた。
会津は、今いちばん行きたい場所だ。近々行くけど。
たぶん郷土史の本を買い込んで、帰りは大荷物になる。

どんな景色が待っていてくれるだろう?
会津旅行を楽しみにしているタイミングで読めてよかった。

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