あなたの心にある「ヒビの入った花瓶」を割る人は本当の親友かもしれない

うまくまとまっていない点はご容赦ください。

感想:
小学生にしてはちょっとませている主人公の少年期にあった初恋と人生の恩師との出会いを描いた作品。置かれている家庭的な環境が僕ととても似ていて、僕もそんな両親の「かすがい」として中学生くらいまでいた。そんな家庭だからこそ抱く不満や葛藤は非常に共感できたし、何よりも小説で重要なキャラクターへの感情移入が今まで読んできた本の中でもかなりできた(置かれている立場が自分と近かったということもあるだろう)。

「ヒビの入った花瓶」は作中における重要なキーフレーズであるが、人はこの今にも割れそうな心の花瓶をいろんな人がつついてヒビを入れている。だけど、責任は最終的に壊してしまった人にあるって思いがち。そう思っている当人だって大きなヒビを入れていたのかもしれないのに。人はその花瓶が家族、恋人といった大事なものほど、割ることが怖いと感じる。でも、どんなに大事なものでも普遍的に続くものではない。だから、限界に到達していても、正気を失ってでもその花瓶を割らないようにする。自分も助言をしたつもりが、それがその人を崩壊させたような経験がある。助言をした僕は当然のように責められた。なぜそんなことを言ったのかと。でも、この作品を通すことでその人も割れそうだった花瓶をただ必死に守っていたんだと思った。だって、その人も今はあの時の言動を理解してくれているし、あの時の僕の行動、言動に感謝をしてくれているわけだから。

親友だからこそ、他の人には働かないくらいの想像力が働いて、勇気ある行動に移せたのだと思う。そういう思いを再認識できた。

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