ラブレター

穂実田 凪

一目惚れ

 一目惚れなんて現象は、ただの都市伝説。

 ずっとそう思っていたんだ。


 愛とか恋とか誰もが簡単に言うけれど、その定義は人によって全然違うし、形にできないものをどう捉えるかなんてのも人それぞれ。唯一共通していることは、そういった感情を育むためには、誰だってそれなりの時間が必要だってことだ。

 もし出会ってすぐに「君のことが好きだ!」なんて言うようなヤツがいたとしたら、表面上でしか他人を見ることのできない可哀想な人か、何か良からぬことを企んで騙そうとしている詐欺師か、ただの性欲を綺麗な言葉でごまかしている嘘つきだ。


 ずっと、そう思っていたんだよ。

 あなたに逢うまでは。


 いや、正確に言うなら、本当は少し違う。

 恥ずかしいけれど、ちゃんと白状することにするよ。

 信じてもらえないかもしれない。いや、きっと信じてもらえない。

 でも、僕にできるのは正直に包み隠さず伝えることだけ。

 だから、信じてもらえようが、信じてもらえなかろうが、とにかく最後まで読んでくれると嬉しい。

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