フェーズ:015『僕の幸福論』

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Title:『僕の幸福論』


「すみませーん!」

ファーストフード店のカウンターで店員を呼ぶ。

しかし、誰も呼び声に気づかない。


「なんなんだよ……」

悪態をつきカウンターを蹴飛ばすと、一瞬店員が振り返る。

「やっとかよ!」と声を弾ませるが、

店員はすぐに元の業務に戻ってしまった。


「……マジか。

ったく、車で事故に遭うわ病院に運ばれるわ、

最近やけについてねえな。

くそっ……今日は事故った日に販売が始まった、

ハワイアングリルバーガーがどーしても食いたいのによぉ!」

カウンター前で右往左往し、ぶつくさ呟いていると、

「わたしが注文しましょうか?」

アイドル顔負けの美少女が声をかけてくれた。


「えっ、いいの?」

「どうしても食べたいんでしょ?」

「じゃ、お言葉に甘えて……」

「待ってて、すぐに戻るから」

少女は薄く微笑みながらカウンターに向かい、

透き通るような声でオーダーを通してくれた。

「そうだ、いっしょに食べましょうか?」

「迷惑じゃなければ……」

嫌なことがあった後は、いいことがあるもんだ。

俺はニコニコ顔で彼女の隣に並んだ。

すると、すぐ傍にいた客達の視線が彼女に注がれた。


「なんか……すっげー見られてるね」

「平気、こういうの小さい頃から慣れてるから」

「ははっ、やっぱ綺麗な子は違うね」

誰もが振り返るほどの美少女と、突然のデート。

俺……始まったかも!


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