第14話

レオナールは、ルーメンの助言の元アリウスのステータスを確認する。


名前 :アリウス・ファウスト・アーリナル

性別 :男

年齢 :14

種族 :人族

レベル:23

職業ジョブ:魔法剣士

スキル:大剣術レベル5

盾術レベル5

火魔法レベル6

水魔法レベル4

土魔法レベル5

風魔法レベル6

固有スキル:真偽の魔眼

称号 :アーリナル王国第一王子

魔眼保持者



……あー、うん。やっぱり年上だよな。それに、魔法剣士も召喚士に比べては劣るけどあまりいないレア職業ジョブだ。それに流石は王子というだけあって良く研鑽してる…女神の加護無しでこのスキルレベルは、アスラ同様の天才という者だろう。


レオナールは、アリウスのステータスを興味深く鑑定していく……………だが、“固有スキル:真偽の魔眼”という項目を見た瞬間に驚愕し思わず口に出してしまった。


「真偽の魔眼………⁈」


ハッと我に返り、アリウスを見る。

アリウスは、狐に包まれたような表情をした直後、殺気の宿った厳しい視線をレオナールに向ける


「…レオ、お前は何故私が魔眼を持っていると思った?それに、真偽の魔眼だと?」


レオナールとアリウスで安穏としていた空気が急転直下で凍りつく


やっちまった…⁉︎


レオナールは、焦りと緊張で冷静な思考が出来ないでいた。


本来、魔眼の所有者は100万人に一人居るか居ないかの規模であり、かつ、持っているというだけで他者とのアドバンテージとなるため秘密にしていることが普通なのだ。

また、魔眼にも様々な種類があり攻撃系の魔眼であったり防御や支援に特化した魔眼等様々な種類が存在する。

その中でも真偽の魔眼とは、ある意味魔眼の中でもメジャーの部類であり人や者への鑑定が出来ることが書物など記されているためレオナールは知っていた。


「何故、お前が知っているのかと聞いたんだが…?」


「………‼︎」


レオナールは冷や汗が止まらず、何か答えようにも二の句が出てこない。


無言が続く…レオナールの体感では数分のことが倍の時間が経ったのではないかと錯覚する。


…しかし、そんな雰囲気がアリウスの言葉で崩れ去ることとなった。


「………ふっ。ははは‼︎すまんすまん…演技が過ぎたな。」


アリウスは、急に吹き出したように笑いだす。

レオナールは、その光景を目の当たりにしたと同時に一気に時が進んだように体感した。


また、あまりの出来事に思考が追いつかずレオナールは茫然自失を呈していた。


「はあ〜、笑った笑った!いや、すまんな。いやあまりにもレオの顔が面白かったから悪ノリしてしまったよ。…だいたい見当はついている。レオ、お前も“魔眼か何か”を持ってるだろ?俺が鑑定した時にはわからなかったが何かタネはあるんだろ?神殿で“お前のステータスが変わったように”な。」


アリウスは、柔和な表情で円卓の上に両肘をつき蒼眼の前で指を組む。


そういうことか…。俺が、あの“馬鹿”に苛立ってステータスを変える前にステータスを見てたんだな…。それなら俺が実力を隠してるのがバレるわけだ。おそらく隠蔽しているところまでは見れないだろうけど、辻褄を合わせておこう…。


「申し訳ありません。勝手にアリウスのステータスを見てしまって…。アリウスの言う通り、私には“魔眼に順ずる能力”があります。また、その能力は確かにステータスを“偽装”し他者からの鑑定を阻害出来ますね。」


レオナールは、降参と言わんばかりに両手を上げて苦笑する。


そんなレオナールを見てアリウスは訝しんだ


「そうか…魔眼に“順ずる能力”か…世界には数少ない魔眼の保持者がいるが、私はレオのように“偽装”しステータスを偽ることのできる魔眼を見たことも聞いたこともない…おそらく私の魔眼より上位に位置する魔眼か何かなのだろうな…。まあ、今回の件は私の落ち度だ。私も警戒が足りなかったという経験になったから気にするな…まあ次からは声に出すというヘマはしないようにな。」


アリウスは、納得のいったような表情で諭すようにレオナールに話す。


「ありがとうございます。私も身に染みて体感しましたからね…気を付けます。いや、私も寿命が縮まりましたよ。」


レオナールは、安心した表情でアリウスに話しかける。


「まあ、私も驚いたのは事実だしな。魔眼を持っているのがばれたのが敵国や“敵対派閥”じゃなくて良かったよ。」


「敵対派閥…ですか…?」


自嘲気味にアリウスが言った一言がレオナールの心に突き刺さる


「あ〜、要らぬことを言ってしまったな。」


アリウスは前髪をかき上げ、余計なことを言ってしまったと独り言のように呟く


「…まあお前にならいいだろう。その“敵対派閥”のトップを打ち負かしてしまったからな。“あちら側”に行くこともあるまい。それに、あっちに着きたいとも思わないだろ?」


何気なく言い放った言葉を聞きレオナールは、また違った冷や汗をかくのだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

七龍の契約者 @Light1118

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ