廃病院の話

とある大学生三人の話だ。


三人は小学校からの幼馴染で、進学先が別々になって大学生になった今でもよくぶらぶらと集まって遊んでいた。


今日もそんなありふれた一日だった。

ふと一人が「暇だし、心霊スポット巡りでもしてみようぜ」と言ったのがきっかけで、三人はなんともなしに軽い気持ちである廃病院にやってきた。


辺りは真っ暗。時間も日付を超えたくらいか。

ファミレスで安いセットメニューとドリンクバーでしばらく時間を潰してから車できたのだ。

まあ、ネットで調べたこの廃病院も、入口と一階が少し歩けるくらいで、階段や奥の部屋にはゴミや瓦礫が重なっていて進めなかった。

三人も最初こそ恐る恐るだったが、少しすると慣れて来て懐中電灯片手に遊びながら、狭い範囲の探索となり、結局何もないまま入口へと帰ってきた。


三人が外へ出ると、古いベンチがあった。

そこで三人はファミレスの続きとばかりに、

またとりとめもなく話し始めていたのだ。


ふと、真ん中の一人が言った。

「俺たち、ずっと友達だよな」

ふいの一言に二人は面を食らったような顔になったが、

すぐに「もちろん」と、力強く応えた。


一人は、じゃあと少し前置きして

「俺の足元を見てくれ」

と言ってきた。二人は言われるがまま、視線を落とした。


すると、青く傷だらけの手が地面から生えているのが見えた。

しかもあろうことか、その一人の足をがっちり掴んでいるのだ。


二人は少しの間固まってそれを見ていたが、

自分の足にそれがないのを確かめると、

一目散に逃げ出していった。

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