第6話 うわさ話

 教室に戻ると莉子が聞いて来た。例のエクレアの子。


「ねえ、さっき教科書貸した子とどうなったのよ? 凛!」


 もう結果聞いてるっぽいけど一応言っとかないと納得しなさそう。


「あ、うん。付き合った?」

「何で疑問符ついてるのよ!」

「いや、なんか実感なくて」

「凛は昔からそうよねえ」


 莉子しみじみ言わないで。莉子とは中学からの付き合いだから、ただいつも上から目線なんだけど。保護者感覚?


「なによ。いいでしょ!」

「テニス部行ってたのも?」


 ああ、もう何でもお見通しなんだから。あれ? でもそれ言ってないよね?


「何でテニス部行ってたの知ってるの?」

「ああ、噂でね」


 相変わらず莉子は噂話の頂点だね。


「何の噂?」


 一応何か聞いておこう。噂話って怖いし。


「凛が誰狙いで男子テニス部に行ってるのか噂&予想」


 う、男狙いってばれてたのね。純粋な気持ちだったのに! いや、間違ってはいないんだけど。


「何それええ」

「まあ、予想の大半は佐々木部長だったんだけどね。まさか入る前から張ってるなんて、予測不可、誰も正解してないだろな」


 どこの賭博コーナーですか? 勝手に人でゲームするな。それであんなに野次馬がいたんだ!


「張ってるって人聞き悪い。私は純粋な気持ちだったのにー」


 机にへばりつく。


「私はわかってるって。良かったじゃない。彼氏できて」


 まあ、そうなんだけどね。



 キーンコーンカーンコーン



「あ、じゃあ。また後でね」


 莉子はそう言って自分の席に帰って行った。

 後ってまた質問する気だな。



 案の定、莉子からの質問攻めにあう。

 聞かれても答えること少ないんだけど。

 ってことで、莉子は期待はずれだと言ってのけ、また去って行った。

 きっと彼、涼に抱きついた形になったから、期待したんだろうけどね。

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